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70代からの資産運用のおすすめは?安心して運用をするポイントと注意点を紹介

70代からの資産運用は、年齢だけで遅いと決まるものではありません。ただし、これから使う生活費まで値動きのある商品に回すのは避け、生活に必要なお金を守ることを優先しましょう。

最初に確認したいのは、年金などの手取り収入と毎月の支出です。生活費の不足分と医療・介護・住宅修繕などへの備えを確保し、長期間使わない資金について運用を検討する順番がおすすめです。

70代の資産運用では、必要なお金を必要なときに使える状態にしたうえで、余裕資金の範囲で投資を考えることが大切です。長生きや物価上昇への備えは必要ですが、必ず投資を始めなければならないわけではありません。

本記事では、2026年10月28日時点で確認できる公表情報をもとに、70代の生活資金の確保、取り崩し方、NISAの注意点、ポートフォリオ例、相談先の選び方を解説します。

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目次

70代からの資産運用は遅い?生活資金を守りながら考えたい理由

70代で資産管理を見直す理由には、長く続く生活への備えと、物価上昇への対応があります。資産管理には投資だけでなく、預金の置き方や支出の見直しも含まれます。

年金収入で生活費をまかなえるか、いつ大きな支出があるか、自分で管理を続けられる商品かを確認したうえで、投資するかどうかを判断しましょう。

平均余命を参考に、長く続く生活への備えを考える

厚生労働省の令和7(2025)年簡易生命表によると、70歳時点の平均余命は男性15.78年、女性20.10年です。70歳を過ぎても、長期間にわたる生活費を考える必要があります。

また、2026年の公表では、百歳以上の高齢者は107,677人でした。これは9月1日現在の住民基本台帳に基づく報告で、年齢は9月15日現在のものです。

平均余命は、その年の死亡状況をもとに計算した平均であり、自分の寿命や投資できる期間を示すものではありません。平均より長く暮らす場合も考え、年金と資産を組み合わせた資金計画を立てましょう。

大切なのは、すべての資金を長期運用することではありません。使う時期が近いお金は換金しやすい形で確保し、長期間使わない部分について運用を検討することです。

70代から資産運用を始める理由のイメージ

画像中の「減らさず活かす」は、投資の元本保証を意味するものではありません。生活のために計画的に資産を取り崩すことも含めて、無理なく使い続けられる方法を考えましょう。

預貯金だけでは物価上昇で購買力が下がる可能性がある

預金残高が変わらなくても、物価が上がると同じ金額で買える物やサービスは減ります。老後の生活費を考える際は、お金の額だけでなく、購買力にも目を向けましょう。

総務省統計局によると、2025年平均の消費者物価指数は、総合指数が前年比3.2%、生鮮食品を除く総合指数が3.1%上昇しました。

さらに、2026年10月23日に公表された2026年9月分の全国消費者物価指数では、総合指数・生鮮食品を除く総合指数ともに前年同月比2.1%の上昇でした。年平均と月次の数値では比較する期間が異なり、いずれも今後の物価上昇率を予測するものではありません。

物価の上昇率が税引後の預金金利を上回ると、預金の実質的な価値は低下します。一方、預金には、値動きを気にせず日々の支払いに使いやすい役割があります。

インフレを心配して、生活資金まで株式や外貨建て商品へ移す必要はありません。支出の見直しや預金条件の比較も含め、対応方法を考えましょう。

投資を組み合わせる場合は、元本割れしても生活に支障が出ない範囲が前提です。株式なども物価上昇への備えになる可能性はありますが、短期間では物価と同じ方向に動くとは限りません。

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70代の資産保有状況は?調査結果の見方と注意点

ここでは、日本証券業協会の「2024年度 証券投資に関する全国調査」を紹介します。全国の18歳以上の男女7,000人を対象に、2024年6月21日〜7月22日に訪問留置法で実施された調査です。

以下は、そのうち70代の回答結果です。現在のすべての70代に当てはまる数値や、おすすめの投資割合ではありません。また、預貯金を含む「金融商品」と、株式などの「有価証券」は区別して見てください。

金融商品を保有する目的は生活資金への備えが中心

預貯金を含む金融商品の保有者に目的を尋ねた設問では、70〜74歳・75〜79歳の男女いずれの区分でも、「将来・老後の生活資金」を挙げた人が約7割でした。回答は複数選択できる形式です。

この結果は、金融商品を持つ目的を尋ねたものであり、「年金への不安がある人の割合」や「投資を始めたきっかけ」を直接示すものではありません。

自分の資金計画でも、生活費の補填、医療・介護への備え、家族に残す資金など、目的を分けて考えましょう。目的が違えば、資金を使う時期や許容できる値下がりも変わります。

株式を保有する人の割合と、適切な投資割合は別

株式を保有していると回答した割合は、70〜74歳では男性25.2%・女性16.6%、75〜79歳では男性22.6%・女性13.7%でした。各年齢・性別の回答者を分母とした結果です。

これは「株式を持っている人の割合」であって、「資産の何割を株式に回しているか」ではありません。この数値を、そのまま自分の資産配分に当てはめないようにしましょう。

生活費を確保しながら資産の一部を運用する考え方

上の画像は資産管理の考え方を示したもので、調査結果のグラフではありません。また、画像中の「安定性の高い商品」という表現は、すべての投資信託や債券に当てはまるものではありません。

例えば、株式中心の投資信託と国内債券中心の投資信託では値動きが異なります。債券でも、発行体や通貨、満期までの期間によってリスクは変わります。商品名だけで安全性や選ばれる理由を判断しないことが大切です。

周囲の保有状況よりも、年金でまかなえない支出と、値下がりしても使わずに持てる資金の額を優先して判断しましょう。

安全性だけでなく、引き出しやすさも確認する

同調査で金融商品保有者が重視する点を尋ねると、70〜74歳では「いつでも出し入れができること」を男性44.6%、女性50.3%が挙げました。預貯金を含む金融商品について、複数回答で尋ねた結果です。

70代の資産管理では、価格が下がりにくいかに加え、必要なときに換金できるかも重要です。「満期まで持てば元本が戻る」という商品でも、途中で資金が必要になる可能性があります。

購入前には、解約できる時期、換金にかかる日数、途中解約時の費用を確認しましょう。利回りだけでなく、実際に使う場面まで考えることが大切です。

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70代におすすめの資産運用|生活費を守って余裕資金で分散する

70代の資産運用では、商品を選ぶ前に「値下がりすると困るお金」を分けましょう。年金収入、生活費、臨時支出を確認すると、運用に回せる資金が見えてきます。

投資に回せる資金が少なければ、預金を中心に管理しても構いません。無理に増やすことより、生活に必要な資金を確保することが優先です。

生活資金は、年金で不足する額と臨時支出から計算する

「生活費3〜5年分」を一律に確保するのではなく、まず生活費から年金などの安定した手取り収入を差し引いて考えます。税金や保険料を引いた後の収入で確認するのがポイントです。

例えば、生活費が月25万円、年金の手取りが月20万円なら、不足額は月5万円、年60万円です。この不足分を5年分確保し、臨時支出用に100万円を加えるなら、合計400万円になります。

400万円は当面の支払いに備える計算例であり、老後全体の必要資金を示すものではありません。5年分・100万円も全員に共通する基準ではなく、その後の不足分や物価上昇、大きな支出も別に考える必要があります。

  • 日々の支払いと急な出費に対応する資金は、普通預金などで確保する
  • すぐには使わないが使途が決まっている資金は、満期が合う定期預金や、換金条件を確認した個人向け国債などで管理する
  • 医療・介護・住宅修繕などは、家族の状況や住まいに応じて別に見積もる

預金保険の対象となる一般預金等は、預金者1人につき1金融機関で合算し、元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。同じ銀行の別支店に分けても合算されます。対象要件を満たす決済用預金は全額保護されますが、外貨預金は対象外です。

個人向け国債は1万円から購入でき、額面で償還される仕組みです。ただし、原則として発行後1年間は中途換金できません。その後の中途換金でも、直前2回分の税引前利子相当額に0.79685を掛けた調整額が差し引かれます。

個人向け国債には「変動10年」「固定5年」「固定3年」があり、金利の決まり方と満期が異なります。急な支払いに使う預金とは分け、使う予定と換金条件が合うかを確認しましょう。

短期債券ファンドや債券型投資信託は、預金や個人向け国債とは異なり、購入した元本が戻る保証はありません。値動きが比較的小さい商品でも、近いうちに必要な生活費の置き場として安易に選ばないことが大切です。

支出は物価や健康状態によって変わります。最初に確保した金額で十分と決めつけず、年金収入とあわせて定期的に見直してください。

余裕資金は、実際の投資対象を確認して分散する

必要資金を確保した後、値下がりを受け入れられる部分について分散投資を検討します。すべての余裕資金を投資する必要はなく、預金として残す選択もできます。

例えば、円預金や個人向け国債と、国内外の株式に広く投資する投資信託を組み合わせる方法があります。多くの商品を買いそろえるより、保有する理由を理解できる組み合わせがおすすめです。

「株式と投資信託を持っているから分散できている」とは限りません。投資信託の中身も同じ株式や地域に偏っていれば、値動きが似ることがあります。商品名ではなく、実際の投資対象を確認しましょう。

外貨建て資産は円安時に円換算額が増える場合がありますが、円高時には減る可能性があります。外貨預金も、円で使う生活費を確実に確保するための預金とは区別してください。

取り崩しは必要額から考え、4%ルールをそのまま使わない

資産を取り崩す場合は、「年何%引き出せるか」より先に、年金などで不足する金額を確認しましょう。必要以上に引き出す必要はなく、必要額が多すぎる場合は支出や資金計画の見直しが必要です。

参考として知られる「4%ルール」は、米国の過去の株式・債券データを使った研究に基づく考え方です。初年度に当初資産の4%を引き出し、翌年以降はその引出額を物価の変化に応じて調整します。

当初の資産が3,000万円なら、初年度の4%は120万円です。これは「毎年、その時点の残高の4%を引き出す」という方法とは異なり、120万円の運用益が得られるという意味でもありません。

日本で暮らす人の税金・費用・通貨・資産配分・支出は、研究の前提と同じではありません。70代の安全な取り崩し率が一律4%と保証されているわけではなく、自分の家計に合わせた検討が必要です。

70代の資産取り崩し戦略の考え方

取り崩しを始めた直後に相場が下がり、同じ金額を売却し続けると、運用に残せる資産が大きく減ることがあります。当面の支出を預金で確保しつつ、残高と支出の両方を見直すことが大切です。

  • 相場が好調でも、将来の支出を確認せず引出額を大きく増やさない
  • 相場下落時に生活費のための売却を急がずに済むよう、預金の残高と補充方法を決めておく
  • 配当・利息・分配金だけでなく、一部売却も含めて税金と費用を比較する

NISAは70代でも利用できる|非課税になる条件を確認する

NISAには制度上の年齢の上限がなく、日本に住む70代の人も利用できます。ただし、税制上の優遇制度であって、安全性や利益を保証する商品ではありません。

年間投資枠は、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円の合計360万円です。非課税保有限度額は取得金額ベースで合計1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円までです。上限まで使い切る必要はありません。

NISAで購入できるのは、各投資枠の条件を満たす投資信託や上場株式などです。預金や個人向け国債は対象ではないため、生活資金の確保とNISAの利用は分けて考えましょう。

NISA口座で購入した対象商品の売却益や配当等は、非課税の対象になります。ただし、国内上場株式やETF・REITの配当・分配金を非課税で受け取るには、証券会社で受け取る「株式数比例配分方式」を選ぶ必要があります。

一方、NISA口座の損失は、特定口座や一般口座の利益との損益通算や、翌年以降への繰越控除ができません。非課税であることだけを理由に、値下がりすると困る資金を投資しないようにしましょう。

NISAの商品は売却できますが、売却代金を受け取るまでの日数は商品によって異なります。急な医療費などに備える資金は別に確保し、長期間使わない資金で活用するかを判断してください。

70代がNISAの非課税メリットと資金の使い道を考えるイメージ

画像は非課税制度を活用する考え方を示していますが、NISAによって安定した配当や元本が保証されるわけではありません。予期せぬ支出への備えは預金などで確保し、NISAでは使う時期と許容できるリスクに合う商品を選びましょう。

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【リスク許容度別】70代のポートフォリオ例

ポートフォリオとは、保有する資産の組み合わせです。70代では、資産全体の値動きに加え、生活費をどこから取り崩すかまで考えて配分を決めましょう。

以下は考え方を説明するための仮の例で、70代に共通する最適配分ではありません。年金、支出、資産額、健康状態、家族に残したい資金によって調整が必要です。

必要な現金の額を決めてから資産を配分する

「預金は何%」と先に決めると、必要な現金が不足することがあります。まず生活費の不足分と臨時支出を金額で確保し、資産を次の役割に分けて考えましょう。

  • 円預金:日々の支払いと、急な出費に備える
  • 個人向け国債:発行後1年間使わない資金の置き場として検討する
  • 株式型投資信託:値下がりを受け入れ、長期の成長を目指す資金で利用する

ここでは、違いを分かりやすくするために3種類で整理します。一般の債券や債券型投資信託を、個人向け国債と同じ性質の商品として扱わないことが重要です。

以下の割合は、住宅などを除く金融資産全体を100%とした例で、生活費として確保する預金も含みます。示した預金割合では必要額が足りない場合、株式などへの配分を減らして調整してください。

反対に、年金収入で支出をまかなえても、無理に投資を増やす必要はありません。値動きへの不安や管理の負担も、配分を決める判断材料になります。

取り崩しと生活費を考慮した資産配分の考え方

リスク許容度に合わせた配分と商品の選び方

リスク許容度は、「値下がりしても生活に困らないか」と「値下がりを見ても落ち着いて保有できるか」の両面から考えます。

以下では株式型投資信託を国内外の株式に広く分散する商品と想定しています。特定の国・業種・テーマに集中する商品や、借入等で値動きを大きくする商品に置き換えると、リスクは変わります。

値下がりを抑えることを重視する「安定重視型」

預金と個人向け国債を厚めに持ち、株式への投資を小さくする例です。投資経験が少ない場合や、資産の値動きが負担に感じられる場合は、株式部分をさらに減らす判断もできます。

  • 円預金(60%)
    • 生活費の不足分と緊急資金を普通預金で確保します。定期預金を使う場合は、満期と中途解約条件を確認してください。
  • 個人向け国債(30%)
    • 債券の仕組みとリスクを確認したうえで、発行後1年間使わない資金を配分します。換金制限があるため、急な支払い用の預金は別に必要です。
  • 株式型投資信託(10%)
    • 国内外に広く分散する商品を比較します。少額でも値下がりする可能性があるため、この部分を近いうちに必要な支払いへ充てる予定がないか確認しましょう。

預金・国債と成長資産を組み合わせる「バランス型」

必要な現金を確保したうえで、金融資産の一部を株式に配分する例です。「バランス型」という名称でも、資産全体が減らないことを保証するものではありません。

  • 円預金(40%)
    • この割合で当面の必要資金を確保できるか、金額に直して確認します。金融資産2,000万円なら800万円ですが、十分かどうかは家計によって異なります。
  • 個人向け国債(40%)
    • 使用予定と中途換金条件が合う資金を配分します。満期や利払いの予定も整理し、預金の残高が不足しないよう管理しましょう。
  • 株式型投資信託(20%)
    • 広く分散する商品で長期の成長を目指します。高配当の商品であっても、値下がりや減配の可能性があることは変わりません。

外貨建て債券やREITなどを追加する場合も、「何割までなら安全」という共通の基準はありません。追加する目的と、資産全体の値動きがどう変わるかを確認してください。

投資信託を選ぶ際は、投資対象、信託報酬、購入時・換金時の費用を比較しましょう。似た運用方針の商品であれば、費用の差も確認する価値があります。

長期で使わない資金がある人の「成長重視型」

年金と確保済みの資金で生活費や臨時支出に対応でき、大きな値下がりにも耐えられる場合の例です。資産を増やしたいという希望だけで選ばないようにしましょう。

  • 円預金(30%)
    • 必要な生活資金が確保できることを優先します。預金を30%に減らすことが目的ではなく、不足する場合は株式への配分を減らしてください。
  • 個人向け国債(30%)
    • 株式とは異なる役割の資金として保有します。利回りを高めるために、安易にハイイールド債や劣後債などへ置き換えないことが大切です。
  • 株式型投資信託(40%)
    • 長期で使わない資金を、国内外に広く分散する商品へ配分する例です。相続を予定する資金であっても、今後自分の生活に必要になる可能性を確認しましょう。

株式への配分が増えるほど、株式市場の下落が資産全体へ与える影響も大きくなります。例えば、株式部分が40%で、その部分だけが30%下がり、他の資産が変わらなければ、全体の下落は12%になります。

これは仕組みを理解するための計算例であり、損失の予測や上限ではありません。金融資産2,000万円なら240万円の減少に当たり、その状態でも必要な支払いに対応できるかを考えましょう。

高い利回りの債券、複雑な仕組みの商品、特定の市場に集中する商品を加えることが、成長重視の必須条件ではありません。理解できる少数の商品で管理する方法もあります。

家族へ残す資金を運用する場合も、自分の生活と介護の備えを先に確保してください。相続時の手続きや保有商品の扱いは、金融機関や専門家に確認しましょう。

長期運用でも守る資金と運用する資金を分ける考え方

どの配分でも、預金・国債・投資信託を別々に見るだけでなく、金融資産全体と家計を合わせて確認することが重要です。

判断に迷う場合は、必要資金の見積もりと許容できる損失額を整理し、専門家に相談しましょう。提案された割合をそのまま採用せず、自分の生活に合う理由を確認してください。

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70代の資産運用で失敗を減らすための注意点

70代の資産運用では、運用成績だけでなく、必要な支払いを続けられるかが重要です。収入や健康状態によっては、大きな損失を新たな収入で補いにくいこともあります。

生活資金を守ること、仕組みを理解して購入すること、管理を続けられる状態を整えることを優先しましょう。

近いうちに必要な生活資金は値動きのある商品に回さない

生活に必要な資金を投資に回しすぎないことは、70代の資産管理の基本です。年金で不足する生活費と、予定している大きな支出を先に確保しましょう。

必要な金額は、何年分という目安だけでは決まりません。月々の不足額、医療・介護の見込み、家族の支援、住宅の状態を踏まえて調整してください。

すぐに必要なお金は普通預金などで確保し、個人向け国債は発行後1年間の換金制限を考慮します。債券型・バランス型投資信託を、元本保証の生活資金と同じように扱わないことが大切です。

相場が下がっても支払いのために売却を急がなくてよい状態を作ることで、家計と運用の計画を両立しやすくなります。

投資商品の仕組み・手数料・換金条件を理解する

「よく分からないが儲かりそう」「担当者に勧められた」という理由だけで購入するのは避けましょう。自分がどのようなリスクを負うのかを確認することが必要です。

値動きのある商品なのに利益や元本を確実であるかのように説明したり、特別な機会として契約を急がせたりする勧誘には注意してください。金融庁も、詐欺的な投資勧誘への注意を呼びかけています。

購入前には、少なくとも次の点を資料で確認しましょう。

  • 何に投資し、どのような場合に損失が出るか
  • 購入時・保有中・売却時に、どの費用を負担するか
  • 解約可能な時期、換金までの日数、途中解約の条件は何か
  • 値下がりした場合に、家計へどの程度の影響が出るか
  • 販売・仲介する事業者に必要な登録があり、連絡先が公式情報と一致するか

分配金が出る投資信託でも、その全額が運用利益とは限りません。元本払戻金が含まれる場合もあるため、受取額だけでなく、残っている資産の評価額と費用を含めて確認しましょう。

登録のある会社の名前を使ったなりすましにも注意が必要です。理解できない点がある場合は資料を持ち帰り、自分で確認した公式窓口へ問い合わせてください。

焦って高いリターンを追求しない

「今から増やさなければ間に合わない」という焦りで、生活に必要な資金まで高リスクの商品に回さないようにしましょう。

70代の資産運用で高リターンを追い過ぎないための注意点

高い利回りや過去の実績を見たときほど、次の点を確認してください。

  • 表示された利回りが、将来も得られる利益とは限らない
  • 投資額は、必要な生活資金を確保した後の範囲にとどめる
  • 損失を取り戻すために、安易に投資額やリスクを増やさない
  • 理解できない商品や、使う時期に換金できない商品は購入しない

資産が減ること自体が、必ずしも運用の失敗ではありません。老後の生活のために準備した資産を、計画に沿って使うことも大切です。

「減らさないために高い利益が必要」と考えるのではなく、支出と取り崩しの計画を見直したうえで、必要な範囲のリスクを検討しましょう。

定期的に資産状況と取り崩し額を見直す

健康状態、生活費、家族のサポートが変われば、必要な現金や運用できる期間も変わります。契約時に決めた配分を、そのまま続ければよいとは限りません。

例えば年1回、または大きな支出や生活環境の変化があったときに、次の点を確認しましょう。

  • 資産配分が大きく変わっていないか
    • 値上がりや取り崩しによって、株式などの割合が増えることがあります。今の目的に合うかを確認し、必要に応じて配分を調整しましょう。
  • 生活費や臨時支出に対応できる現金があるか
    • 医療・介護や住宅修繕の予定が変わった場合は、預金として確保する金額も見直します。予定している支払いの直前に換金を急がないようにしましょう。
  • 資産の減少が計画した範囲か
    • 運用損益と生活費の引き出しを分けて確認します。予定より減少が速い場合は、支出や取り崩し額、保有商品の費用を見直してください。

家族や信頼できる人と、必要な情報と希望を共有する

本人の意思を尊重しながら、信頼できる家族などに、口座のある金融機関や相談窓口を共有しておくと、困ったときの支援につながります。

保有商品、生活費として使う資金、書類の保管場所、今後の希望を一覧にしておきましょう。ただし、口座情報を整理することと、暗証番号やパスワードを共有して取引を任せることは別です。代理取引が必要な場合は、金融機関の正式な手続きを確認してください。

判断能力や健康状態が変わる場合に備え、利用できる代理人サービスや資産管理の方法を事前に相談しましょう。任意後見、家族信託、相続対策については、弁護士・司法書士・税理士など、内容に応じた専門家に確認することが大切です。

専門家の意見は、提案理由と費用を確認して活用する

資産配分だけでなく、取り崩し、税金、相続、介護への備えまで一度に考えるのが難しい場合は、専門家へ相談する方法があります。

相談時には、年金の手取り額、毎月の支出、資産の一覧、予定している大きな支払いを整理しておくと、具体的な話を進めやすくなります。

専門家に確認したい内容は、次のとおりです。

  • 生活費と臨時支出のために、どの程度の資金を確保するか
  • 投資する場合に、どの程度の損失まで家計で受け入れられるか
  • 自分で使う資金と、家族に残したい資金をどう分けるか
  • いつ、何を基準に資金計画や資産配分を見直すか
70代が資産運用を専門家に相談するメリット

専門家でも、立場や報酬の仕組みによって提案できる範囲は異なります。第三者だから必ず中立とは考えず、提案理由、費用、リスク、他の方法との違いを確認して判断しましょう。

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70代の資産運用は誰に相談する?

資産運用の相談先には、銀行・証券会社、ファイナンシャルプランナー(FP)、IFAなどがあります。

具体的な商品を確認したいのか、家計全体を整理したいのかによって、相談先を選びましょう。税務や法律上の判断が必要な場合は、その分野の専門家への確認も必要です。

資産運用の相談先を比較する

主な相談先の役割と、事前に確認したい点を整理します。

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相談先相談しやすい内容確認したい点
銀行・証券会社取扱商品の説明、口座開設、売買や換金の手続き取扱範囲、商品費用、契約後のサポート
FP家計、年金、保険、老後の取り崩しを含む資金計画相談料、得意分野、商品販売の有無、対応できる業務
IFA資産運用の相談、提携する証券会社等の商品提案や売買の仲介登録、所属金融商品取引業者等、報酬、取扱商品

銀行・証券会社では、その金融機関が扱う商品の条件や手続きを確認できます。ただし、他社を含むすべての商品を比較して提案するとは限りません。相談やフォローの内容も窓口によって確認しましょう。

ファイナンシャルプランナー(FP)は、家計や年金、保険を含む資金計画の相談先です。FP資格は、金融商品の仲介や投資助言業務に必要な登録を兼ねるものではないため、具体的な取引まで依頼する場合は業務上の立場も確認してください。

IFAでは、金融商品仲介業者として登録を受けた事業者やその所属担当者が、証券会社などの委託を受けて商品の提案・売買の仲介などを行います。

独立系という名称だけで、中立性や長期のフォローが保証されるわけではありません。所属先、提案できる商品、誰からどのような報酬を受け取るか、担当者が変わる場合の対応まで確認しましょう。

信頼できるIFAを選ぶポイント

IFAに相談するときは、次の点を確認してください。費用や提案理由が分からないまま、契約を進めないことが大切です。

  • 事業者に必要な登録があり、担当者の所属を確認できるか
  • どの証券会社・金融機関の商品を取り扱えるか
  • 自分が負担する費用と、提案する側が受け取る報酬を説明してくれるか
  • 利益だけでなく、損失の可能性と換金条件を具体的に説明してくれるか
  • 本人が希望する家族の同席や、資料を持ち帰っての検討に対応してくれるか
  • 契約を急がせず、預金で保有する方法を含めて複数案を説明してくれるか

相談する際は、同じ資産額・収支・希望を伝えて複数の提案を比べると、違いが分かりやすくなります。相談料が無料でも、商品購入後の費用がないとは限りません。

納得できない場合は、その場で契約する必要はありません。家族や別の専門家にも確認し、自分の希望に合う方法を選びましょう。

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70代の資産運用は「増やす」より「必要なときに使える」設計が大切

70代の資産運用では、運用額や利回りよりも、生活費と臨時支出に対応できる状態を整えることが大切です。

まず年金などの手取り収入と支出を確認し、不足分と医療・介護・修繕への備えを確保しましょう。必要額は家庭ごとに異なるため、「生活費の何年分」という目安だけで決めないでください。

長生きや物価上昇に備えて投資を組み合わせる方法はありますが、必ず投資を始める必要はありません。預金や個人向け国債を中心に管理し、必要に応じて資産を計画的に使うことも選択肢です。

投資する場合は、元本割れしても生活に支障が出ない範囲に抑え、費用と換金条件を確認しましょう。NISAは利益を保証する制度ではなく、4%ルールも日本の70代に共通する安全な取り崩し率ではありません。

最初の一歩は、毎月の収支と資産の一覧を作ることです。必要に応じて家族や専門家に相談し、自分で理解し、管理を続けられる運用方針を選びましょう。

家族や専門家と相談しながら70代の資産管理を進める考え方

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出典

厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表 主な年齢の平均余命」
厚生労働省「【訂正】令和8年度百歳の高齢者へのお祝い状及び記念品の贈呈について」(公開日:2026年9月15日)
総務省統計局「消費者物価指数(CPI)全国 2025年平均」(公開日:2026年1月23日)
総務省統計局「消費者物価指数(CPI)全国 2026年9月分」(公開日:2026年10月23日)
日本証券業協会「2024年度(令和6年)証券投資に関する全国調査(個人調査)」
日本証券業協会「2024年度 証券投資に関する全国調査:金融商品保有の実態・意向」
金融庁「資産形成の基本:NISA特設ウェブサイト」
金融庁「NISAを利用する皆さまへ」
国税庁「No.1535 NISA制度」
日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」
金融庁「預金保険制度」
財務省「個人向け国債」
財務省「個人向け国債商品概要」
Financial Planning Association「Determining Withdrawal Rates Using Historical Data」
資産運用業協会「分配金・換金/償還の知識」
金融庁「詐欺的な投資勧誘等にご注意ください!」
金融庁「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」
日本証券業協会「金融商品仲介業者」
日本FP協会「FP業務に関連する法令などについて」

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