- そもそも相続について何を準備しておくべきかわからない
- 相続発生後、遺産をどうするべきかわからない
- まとめて相談できるおすすめの相談先が知りたい
相続の相談先は、悩みの内容で選ぶことが大切だ。相続税は税理士、不動産の相続登記は司法書士、遺産分割の争いは弁護士、受け取った金融資産の運用は証券会社やIFAなどが主な相談先となる。
相続が発生したら、まず必要な手続きと期限を確認しよう。すべての相続で相続税申告が必要になるわけではないが、借金の有無や申告の要否を調べている間にも、手続きの期限は進んでいく。
本記事では、生前の準備、相続発生後に優先する手続き、相談前にそろえたい情報、専門家ごとの役割を整理する。受け取った遺産を管理・運用するときの注意点も紹介する。
相続は税金・法律・不動産・資産管理が関係するため、一つの窓口で相談できても、実際の業務は複数の専門家が担当する場合がある。依頼範囲と費用を確認し、自分の状況に合う相談先を選ぼう。
相続のとき発生するお悩みとは?まず期限と全体像を把握しよう
生前に準備できることと、相続が発生してから行うことは異なる。主な悩みには、次のようなものがある。
- 生前贈与をする金額やタイミングをどう決めるべきかわからない
- 遺言書を作るべきか、どの形式を選ぶべきか判断できない
- 相続税がかかるか、どのような特例を使えるかわからない
- 相続発生後の手続きが複雑で、何から始めればよいかわからない
- 遺産分割で相続人同士の意見が合わず、トラブルになるのが心配
- 相続した不動産や株式を売るべきか、保有すべきか判断が難しい
相続発生後であれば、贈与や新たな投資の検討より、相続人・財産・債務・遺言書の確認と期限の把握を優先しよう。
生前贈与の悩み|110万円の基礎控除だけで判断しない
生前贈与は、生きている間に財産を家族などへ渡すことだ。税負担だけでなく、贈与する本人の老後資金や、家族間の公平感も考えて進めたい。
暦年課税の贈与税は、受け取る人ごとに、その年の1月1日から12月31日までにもらった財産の合計額から基礎控除110万円を差し引いて計算する。複数の人からもらった場合も合算し、贈与者ごとに110万円を使えるわけではない。
また、相続や遺贈などで財産を取得した人が、亡くなった方から一定期間内に受けた暦年課税の贈与は、相続税の課税価格への加算対象となる。贈与税の基礎控除以下だった財産も、対象になることがある。
加算対象期間は、相続開始日が2026年12月31日までなら相続開始前3年以内、2027年1月1日から2030年12月31日までなら2024年1月1日から死亡日まで、2031年1月1日以後なら相続開始前7年以内となる。延長された部分に当たる、相続開始前3年以内以外の贈与については、総額100万円まで加算しない取扱いがある。
毎年同額を贈与すること自体が、直ちに問題になるわけではない。ただし、最初から「毎年100万円を10年間渡す」などの契約をすると、定期的に給付を受ける権利の贈与として課税される場合がある。毎年の贈与契約と、複数年にわたる約束を区別しよう。
別の制度である相続時精算課税にも、2024年以後の贈与について年110万円の基礎控除があるが、選択した贈与者からの贈与を暦年課税へ戻すことはできない。制度の選択、届出、贈与の記録、受贈者による財産管理まで含め、実行前に税理士へ相談しよう。
遺言作成の悩み|形式だけでなく内容のわかりやすさも重要
遺言書は、自分の財産を誰にどのように承継させるかなどの意思を、法律で定める方式に沿って残すものだ。一般的なメモやエンディングノートとは区別して考える必要がある。
代表的な方式には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言がある。ここでは、自筆証書遺言と公正証書遺言の特徴を確認しよう。
自筆証書遺言は自分で作成できるが、法定の方式を守る必要がある。法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すると、紛失・改ざんへの備えになり、家庭裁判所での検認も不要になる。ただし、保管制度は遺言の有効性を保証するものではない。
公正証書遺言は、公証人が関与して作成し、検認を必要としない。原本は公証役場で、電子データの原本は日本公証人連合会のシステムで保管される。作成に必要な資料、証人、費用は公証役場へ確認しよう。
どの方式でも、財産や受取人の特定が不十分だったり、遺留分などを考慮していなかったりすると、争いにつながる可能性がある。遺留分は一定の相続人に保障される最低限の取り分であり、全員に同じ権利があるわけではない。
「誰に何を渡すか」に加え、遺言を実現する遺言執行者を指定するか、家族へ理由をどう伝えるかも検討しよう。遺言を作っただけで相続税が安くなったり、紛争を必ず防げたりするわけではない。
相続税対策の悩み|基礎控除と使える特例を確認する
相続税がかかるかを判断するには、預金残高だけでなく、不動産、有価証券、死亡保険金、一定の生前贈与、債務などを確認する必要がある。
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算する。法定相続人が3人なら4,800万円だ。税法上の人数の数え方には、相続放棄や養子に関する取扱いもあるため、該当する場合は確認しよう。
課税価格の合計が基礎控除を超える場合は、申告・納税の要否を確認する。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って税額がゼロになる場合でも、適用のために申告が必要になる。
小規模宅地等の特例は、一定の宅地等について評価額を減額する制度だ。土地の用途や取得する人、保有・居住などの条件があるため、「自宅なら必ず使える」とは考えないようにしたい。
亡くなった方が保険料を負担していた死亡保険金などで、相続税の対象となるものには、相続人が受け取る場合に「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額がある。これは相続人全体の枠であり、相続放棄をした受取人などには適用されない。保険料の負担者と受取人によって税の種類も変わる。
対策は節税効果だけで決めず、本人の生活費、遺産分割、納税資金、商品や不動産の換金性まで確認しよう。保険加入や不動産購入を先に決めず、家族全体の承継計画を整理することが大切だ。
相続手続きの悩み|3か月・4か月・10か月・3年の期限に注意
相続人や財産の調査、遺言書の確認、遺産分割、税務申告、名義変更などは、必要に応じて並行して進める。すべてを順番に終えてから次へ進むと、期限に間に合わないことがある。
主な期限は以下の通りだ。起算点が異なるため、死亡日から一律に数えるのではなく、自分に適用される日を確認しよう。
| 期限の目安 | 主な手続き | 起算点・注意点 |
|---|---|---|
| 3か月以内 | 相続放棄・限定承認 | 自己のために相続の開始があったことを知った時からが原則。 家庭裁判所への申述が必要 |
| 4か月以内 | 所得税の準確定申告・納税 | 申告義務がある場合、相続の開始があったことを知った日の翌日から |
| 10か月以内 | 相続税の申告・納税 | 申告等が必要な場合、相続の開始があったことを知った日(通常は死亡を知った日)の翌日から |
| 3年以内 | 相続登記 | 自己のために相続が開始したことと、その不動産の所有権を取得したことを知った日から。 遺産分割成立後にも別の申請義務がある |
相続放棄を検討している場合は、遺産の売却や引出金の使用などを行う前に相談しよう。相続財産の処分によって単純承認とみなされ、放棄できなくなる場合がある。調査が間に合わないときは、期限内に家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てる方法がある。
相続登記は2024年4月1日から義務化された。施行前に相続したことを知った不動産も対象で、未登記なら原則として2027年3月31日までに申請が必要だ。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となるため、過去の相続も確認しよう。
遺産分割・トラブルの悩み|不動産や非上場株式の分け方を考える
遺産分割は、共同相続人の間で、誰がどの遺産を取得するかを決める手続きだ。財産の評価額や将来の使い方によって、希望が分かれることがある。
主な分け方には、以下の方法がある。
- 現物分割
- 土地、建物、株式などを売却せず、相続人ごとに取得する財産を決める
- 代償分割
- 一部の相続人が不動産などを取得し、他の相続人へ代償金などを支払う
- 換価分割
- 遺産を売却し、費用や税金を考慮したうえで代金を分ける
- 共有分割
- 一つの不動産などを複数の相続人の共有とする
不動産や非上場株式は、売りにくさ、評価額、居住や経営を続けたい意向なども関係する。代償分割なら支払資金を用意できるか、換価分割なら売却費用や税金を確認する必要がある。
共有にすれば問題が解決するとは限らない。売却や管理で合意が必要になり、次の相続で権利者が増えることもあるため、将来の管理方法まで話し合っておきたい。
遺産分割協議は、参加すべき相続人全員の合意が必要となる。話合いがまとまらない場合は、弁護士への相談や家庭裁判所の調停などを検討する。遺言書がある場合も、対象外の財産や内容に争いがないかを確認しよう。
相続財産の管理・運用方法の悩み|納税資金を確保してから判断する
相続財産をどう管理するかは、誰が取得するか、何に使うかが決まってから具体化する。遺産分割前の財産を、自分の判断だけで売却・運用しないようにしたい。
不動産、株式、投資信託、債券、事業用資産などでは、管理費用や換金に必要な期間も異なる。契約内容や権利関係を確認し、必要な名義変更・移管を進めよう。
新たな運用を始める前に、相続税、債務、未払い金、葬儀費用、代償金、当面の生活費など、誰がいくら負担するかを整理する。支出のすべてが相続税の計算で控除できるわけではない点にも注意したい。
使う予定のある資金は換金しやすい形で確保し、長く使わない資金について投資信託や債券、株式などを検討する。運用を始める必要があるかも含め、許容できる損失額から考えよう。
相続した資産を保有し続けるか売るかは、税金、費用、値動き、家族の意向を踏まえて判断する。売却時の税務上の取扱いは、相続時の評価額だけでは判断できないため、証券会社や税理士などへ確認したい。
相続について相談するときの注意点
相談を円滑に進めるには、手元の情報を整理し、期限と依頼内容を最初に伝えることが重要だ。
相続に関する情報を収集しておく
生前の相談なら財産と家族関係、相続発生後ならそれに加えて死亡日、相続を知った日、遺言書、手続きの進捗をまとめよう。
資料がすべてそろうまで相談を待つ必要はない。初回は分かる範囲のメモでもよいので、不明な財産や債務、連絡が取れない相続人がいることも伝えたい。
相談時の主な資料は以下の通りだ。正式な手続きで必要になる書類や取得範囲は、提出先や専門家に確認しよう。
| 準備したい書類・情報 | 用途・説明 |
|---|---|
| 亡くなった方の戸籍謄本・除籍謄本 ※相続発生後の相談 | 相続人の確認に使う。 出生から死亡までの戸籍や、相続関係に応じた追加の戸籍が必要になる |
| 亡くなった方の住民票の除票 ※相続発生後の相談 | 最後の住所などの確認に使う。 登記上の住所とのつながりを確認するため、戸籍の附票などが必要な場合もある |
| 遺言書(あれば) ※相続発生後の相談 | 封印のある遺言書は自分で開封せず、家庭裁判所へ確認する。 公正証書遺言や法務局保管の自筆証書遺言は検認不要 |
| 相続関係図 | 家族関係をまとめたメモや図。 相談用には手書きでもよいが、正式な相続人の確認には戸籍等を使う |
| 不動産に関する書類 | 固定資産税納税通知書、登記事項証明書、権利証、売買契約書など。 所在地や権利関係を整理する。 固定資産税評価額と相続税評価額は同じではない |
| 金融資産がわかる書類 | 預貯金……通帳や残高証明書 有価証券……残高・取引報告書 生命保険……保険証券や保険会社の通知書 |
| 債務・支出がわかる書類 | 借入金、保証債務、未払い金、葬儀費用、医療費、税金などの資料。 支払義務と、相続税で控除できる範囲を確認する |
戸籍を複数の提出先で使う場合は、法定相続情報証明制度も検討できる。登記官の認証文が付いた法定相続情報一覧図の写しを、戸籍一式に代えて使える手続きがある。ただし、遺産分割の内容まで証明するものではなく、提出先によって別の書類も必要になる。
期限がある手続きから優先する
相続の相談では、最初に期限を共有し、誰がどの手続きを担当するかを決めよう。財産調査と税務申告の準備など、同時に進める作業もある。
借金が多い可能性がある場合は、相続放棄や限定承認を早めに検討する。限定承認は原則として共同相続人全員で行う手続きであり、一人で行える相続放棄とは異なる。所得税の申告義務がある場合は、準確定申告・納税の準備も必要だ。
遺産分割がまとまっていなくても、相続税の申告期限は原則として延びない。未分割での申告や、分割後に特例を適用するための手続きが必要になる場合があるので、10か月の期限を待たずに税理士へ相談しよう。
相続登記が間に合わない場合は、相続人申告登記で当初の申請義務を履行する方法がある。ただし、申出の対象となった人についての制度であり、所有権の移転登記の代わりではない。遺産分割後は、その成立日から3年以内に分割内容に沿った登記が別途必要になる。
相続分野が得意な専門家に相談する
同じ資格を持つ専門家でも、相続案件の経験や対応する財産の種類は異なる。相談したい内容に近い実績と、現在の対応範囲を確認しよう。
税金は税理士、登記は司法書士、紛争や交渉代理は弁護士が主な相談先だ。相続後の金融資産の運用は証券会社やIFA、不動産の売却は不動産会社など、目的に応じて分けて考えるとよい。
一つの窓口にまとめたい場合は、専門家同士の連携方法も確認する。例えば、資産運用の相談をIFAに依頼しても、税務申告や相続争いの代理まで依頼できるわけではない。紹介先と別に契約が必要かも確認したい。
費用の内訳と依頼範囲を確認する
相続関連の費用には、専門家の相談料・報酬のほか、戸籍等の取得費、登録免許税、公証人の手数料などがある。金融商品を購入する場合の費用も、手続き報酬とは別に確認する必要がある。
依頼前に、業務の範囲、成果物、完了までの見通し、追加料金の条件、他の専門家への支払額を見積もりで確認しよう。「一括対応」という表示でも、すべての費用が含まれるとは限らない。
複数の相談先を比較する場合は、同じ財産情報と依頼内容を伝えることが大切だ。費用だけでなく、説明の分かりやすさ、相続案件の経験、連絡方法、期限管理の体制を比べよう。
相続についてのおすすめ相談先は?悩み別に選ぼう
相続全般を一つの肩書きだけで任せるのではなく、解決したい問題から相談先を選ぼう。
- 税理士
- 司法書士
- 信託銀行
- 弁護士
- 証券会社
- IFA
各相談先の役割と、依頼前に確認したい点を紹介する。
税理士
税理士は、税務相談、税務書類の作成、税務代理を行う専門家だ。相続税の申告要否が分からない段階から相談できる。
相続では、財産評価、相続税申告、生前贈与の税務、死亡保険金の非課税枠や小規模宅地等の特例などを相談する。制度の適用には個別の条件があるため、資料を基に判断してもらおう。
不動産、非上場株式、事業用資産、海外資産がある場合は、類似案件の経験も確認したい。申告報酬に財産調査や税務署からの照会対応がどこまで含まれるかも確認しよう。
司法書士
司法書士は、不動産登記などの手続きを扱う専門家だ。不動産を相続した際の名義変更は、主な相談分野となる。
相続登記の申請、登記に必要な遺産分割協議書等の作成、戸籍収集、法定相続情報証明制度の利用などを相談できる。依頼する業務と報酬の範囲は事前に確認しよう。
ただし、相続人同士が争う遺産分割の交渉代理まで、登記依頼と同じ範囲で任せられるわけではない。紛争がある場合は弁護士との連携も確認する。過去に相続した不動産の未登記についても相談しておきたい。
信託銀行
信託銀行には、遺言書の作成に関する相談・保管・執行を扱う遺言信託や、相続発生後の遺産整理などのサービスがある。取扱内容は金融機関によって異なる。
遺産整理では、相続人からの委任を受け、財産調査や財産目録の作成、遺産分割協議の内容に沿った名義変更・分配などを進める。複数の金融機関や財産をまとめて整理したい場合に検討できる。
ただし、税務申告や紛争解決を銀行だけで行うわけではない。利用条件、最低手数料、対象外の財産、税理士・司法書士などへの別途報酬を確認し、必要な業務だけを依頼する方法とも比較しよう。
弁護士
弁護士には、遺産分割の交渉・調停、遺留分、相続放棄、遺言の有効性など、法律上の問題を相談できる。
すでに対立している場合に限らず、一部の相続人と連絡が取れない、財産の使込みが疑われるなど、話合いだけでは進めにくい場合も早めに相談するとよい。
税理士や司法書士との連携が必要になる場合は、担当分野と費用を確認する。また、相続人間で利害が対立するときは、誰の代理人として依頼するのかを明確にしよう。
証券会社
亡くなった方が証券口座を持っていた場合は、まず取引先の証券会社へ相続手続きと必要書類を確認する。商品や口座の状態によって対応が異なる。
相続人名義の口座への移管や、受け取った有価証券の保有・売却、資産配分の見直しなどを相談できる。新たに運用を始める前に、承継手続きを整理しよう。
相続した株式や投資信託をそのまま保有するか、売却するかは、生活費、納税資金、投資経験、許容できる損失によって変わる。亡くなった方と同じ運用方針を続ける必要はない。
商品を組み替える場合は、売却時の税金、購入・保有中の費用、換金条件を確認する。提案できる商品は取扱範囲に限られるため、保有を続ける場合との違いも説明してもらおう。
IFA
IFAは独立系ファイナンシャルアドバイザーと呼ばれる相談先だ。本記事では、金融商品仲介業者またはその所属担当者として活動するIFAを扱う。
金融商品仲介業者は、証券会社や登録金融機関などから委託を受け、有価証券の売買の媒介などを行う。独立系という名称でも、取扱金融機関との関係や報酬の仕組みを確認する必要がある。
相続後は、生活に必要な資金を残したうえでの運用方針、資産配分、金融商品の購入・売却などを相談できる場合がある。運用を一任する契約とは異なるため、任せられる範囲を確認しよう。
IFAという肩書きだけで、税務申告や相続争いの代理、登記申請ができるわけではない。別の資格・登録を持つ場合を除き、税理士、弁護士、司法書士などとの連携が必要になる。
相談前には、事業者の登録、所属金融商品取引業者等、担当者の外務員登録、報酬の受取先、取扱商品を確認したい。登録の有無や「独立系」という名称だけで、中立性や運用成果を判断しないようにしよう。
安心して相続資産の相談をするためのポイント
相続資産の相談では、知識に加え、家族の事情と手続きの進捗を聞き、必要な専門家へつないでくれる相談先を選びたい。
管理・売却の検討は、納税資金を用意するために早期から必要になる場合がある。一方、新たな投資は急がず、処分する権限や取得する財産、必要な支出が明確になってから判断しよう。
担当者の説明と契約内容を、以下の観点で確認してほしい。
信頼できるアドバイザーの選び方
資格や肩書きだけでなく、自分の案件に対応できるかを具体的に確認しよう。
| 信頼できるアドバイザーの条件 | 確認ポイント |
|---|---|
| 相続分野の知識と実績 | 相談したい業務や財産の種類に近い実績があるか。資格・登録も確認する |
| 役割と限界を説明してくれる | 本人が担当する業務と、別の専門家へ依頼する業務を区別して説明するか |
| 手数料・報酬体系が明確 | 相談料、手続き報酬、実費、金融商品の費用を分けて説明するか 追加費用の条件と、報酬の支払先を事前に示すか |
| リスクやデメリットも説明する | 税務上の条件、換金しにくさ、値下がり、分割方法による将来の負担を説明するか |
| 他分野の専門家と連携できる | 担当者間の情報共有、各契約の窓口、期限管理を誰が行うかが明確か |
家族関係、遺言、財産・債務、納税資金を確認せず、すぐ商品購入や贈与を勧める提案は慎重に検討したい。分からない点が残る場合は、書面を持ち帰って確認しよう。
まず「誰が何を取得するか」「どの期限が迫っているか」「支出に必要な現金を確保できるか」を整理する。そのうえで、長期的な資産管理を考える順番が大切だ。
相続後の運用相談先を「資産運用ナビ」で探す
相続後の金融資産の運用を相談したい場合は、「資産運用ナビ」を使ってアドバイザーを比較する方法もある。相続手続きそのものの依頼とは分けて考えよう。
「資産運用ナビ」では、相談内容や地域などの条件でIFAを探し、プロフィールで経歴、保有資格、提携証券会社、得意分野などを確認できる。掲載内容だけで決めず、相続資産に関する相談経験や費用も面談で確認したい。
税務や遺産分割の問題が残っている場合は、その状況を伝え、税理士や弁護士とどのように連携するかを確認しよう。紹介を受けた場合も、各専門家の依頼範囲と費用を個別に確認することが大切だ。
相続対策は早めに始めよう
相続の準備は、節税商品を探すことからではなく、財産・債務と家族関係を整理することから始めよう。
生前であれば、本人の生活資金を確保したうえで、遺言、贈与、保険、家族への意思共有などを検討できる。どの対策も全員に必要なわけではなく、目的と条件に合わせて選ぶことが重要だ。
相続発生後は、相続放棄などの判断、準確定申告、相続税申告、相続登記の期限を確認し、必要な調査と手続きを並行して進めよう。資料不足や遺産分割の難航があっても、相談を先延ばしにしないようにしたい。
税理士、司法書士、弁護士、信託銀行、証券会社、独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)などは、それぞれ役割が異なる。一括で相談する場合も、実際の担当者と契約・費用の範囲を確認しよう。
相続後の資産運用まで見据えて相談したい方は、「資産運用ナビ」などのサービスも活用しながら、自分の状況に合うアドバイザーを比較してほしい。
相続の運用相談に関するQ&A
出典
国税庁「No.4152 相続税の計算」
国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
国税庁「No.4208 相続財産が分割されていないときの申告」
国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」
国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」
国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」
国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」
国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例」
国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」
裁判所「相続の放棄の申述」
裁判所「相続・遺産分割」
法務省「相続登記の申請義務化について」
法務省「相続人申告登記について」
裁判所「遺言書の検認」
法務省「遺言書保管制度とは?」
日本公証人連合会「遺言」
法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」
日本税理士会連合会「税理士とは」
日本司法書士会連合会「相続登記相談センター特設サイト」
日本弁護士連合会「相続のご相談は、弁護士へ」
信託協会「よくあるご相談」
日本証券業協会「金融商品仲介業者」
日本証券業協会「外務員」
資産運用ナビ「公式サイト」

