60代になると、退職金や年金、これまでの貯蓄をどう守りながら使っていくかが大きなテーマになります。
長い老後生活や物価上昇に備える方法として資産運用は検討できますが、60代になったら必ず投資を始めるべき、というわけではありません。必要な生活費や支出予定によって、適した方法は異なります。
60代からの資産運用では、年金などの収入と支出を確認し、生活資金を確保してから、長く使わない余裕資金の運用を考えることが大切です。非課税制度や高い利回りを理由に、投資額を増やす必要はありません。
本記事では、2026年10月28日時点で確認できる公的資料や調査結果をもとに、60代から資産運用を検討する理由、投資先の特徴、取り崩しの考え方、リスクの違いを理解するためのポートフォリオ例を解説します。
大きな失敗を避けるための注意点や相談先の選び方も紹介するので、運用を始めるかどうかも含めて、自分に合う方法を考える参考にしてください。
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60歳からでも資産運用を検討したい理由
60代の資産運用は、積極的に資産を増やすことだけが目的ではありません。生活に必要なお金を確保したうえで、将来に備える資金の運用方法を考えることが重要です。
検討する背景として、主に以下の2点があります。
- 60歳以降も長い生活期間に備える必要がある
- 物価が上がると、同じ金額で買えるものが減る
厚生労働省の「令和7(2025)年簡易生命表」によると、60歳時点の平均余命は男性23.86年、女性29.07年です。60歳からでも、数十年単位の生活を見据えた資金計画が必要になると考えられます。
ただし、平均余命は個人があと何年生きるかを予測した数字ではありません。平均より長く生活する可能性も踏まえ、年金などの継続的な収入と、取り崩す資産の両方を確認しましょう。
物価上昇も考慮したい要素です。総務省統計局の消費者物価指数では、2025年平均の総合指数は前年比3.2%上昇しました。将来も同じ上昇率が続くとは限りませんが、預金の利息による増加が物価上昇に追いつかなければ、実質的な購買力は下がります。
一方、投資には値下がりの可能性があり、運用によって必ず資産寿命が延びるわけではありません。生活費や医療・介護費、住宅修繕費などの備えを優先し、家計に余裕がなければ支出の見直しや資金の確保から始めましょう。

60代から始めること自体が遅すぎるわけではありません。ただし、分散投資をしても資産の減少を抑えられるとは限らず、運用損失によって資産寿命が短くなる場合もあります。年齢だけで判断せず、使う時期と許容できる損失から、運用するかどうかを決めましょう。
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60代の資産運用の状況は?2024年公表アンケートを紹介
ここでは、アドバイザーナビ株式会社が公表した、60代の資産運用に関するアンケートを紹介します。調査期間は2024年6月24日〜7月8日、調査方法はインターネットによるアンケート、調査人数は57人です。
以下は、この調査の回答者に関する結果です。2026年時点の60代全体を代表するものでも、60代から投資を始めた人だけの結果でもありません。他人と同じ商品や投資割合を選ぶためではなく、自分の目的を整理する参考にしてください。
投資を始めたきっかけ|老後資金や生活への備え
投資を始めたきっかけについて、公表図表では以下の結果が示されています。「日々の生活費の足しにするため」は発表本文が32.7%、図表が38.6%と一致しないため、割合の掲載を見合わせています。
| 老後資金を貯めるため | 59.6% |
|---|---|
| 日々の生活費の足しにするため | 公表値に不一致があるため非掲載 |
| 欲しいものを買う資金を貯めるため | 8.8% |
| 子供の教育費のため | 公表図表に記載なし |
| 家族・友人に勧められたから | 8.8% |
| 証券会社から提案されたから | 5.3% |
| 退職金を受け取ったから | 12.3% |
| もともと興味があったから | 31.6% |
| 新NISAが始まったから | 12.3% |
| SNSやYouTubeを見て興味を持ったから | 7.0% |
| その他 | 1.8% |
公表資料では「老後資金を貯めるため」が最多でした。ただし、投資を始めた理由と、実際に適している運用方法は別です。生活費を補う目的であっても、必要なお金を値動きの大きい商品に回さないようにしましょう。

運用資産の割合|保有資産全体とのバランスを確認
保有資産に占める運用資産の割合については、以下の結果でした。区分は公表資料の表記に合わせています。
| 運用資産の割合 | 回答割合 |
|---|---|
| 20%未満 | 47.4% |
| 20%〜40%台 | 36.8% |
| 50%〜70%台 | 14.0% |
| 80%以上 | 1.8% |
| 合計 | 100.0% |
この調査では「20%未満」が最も多い結果でした。ただし、残りの資産がすべて預金であるとは、この結果だけでは判断できません。自分の運用割合は、他の人の比率よりも、生活費や支出予定を基準に決めましょう。
保有している商品・運用方法|株式や投資信託を利用
運用している商品などについては、以下の結果でした。投資信託やファンドラップは、それ自体が単一の資産クラスではなく、株式・債券などに投資する商品やサービスです。
| 株式 | 57.9% |
|---|---|
| 債券 | 15.8% |
| 投資信託 | 52.6% |
| ファンドラップ | 1.8% |
| ETF・REIT | 8.8% |
| 不動産 | 5.3% |
| 外貨預金 | 7.0% |
| FX | 14.0% |
| その他 | 10.5% |
株式や投資信託を利用する回答者が多い結果でしたが、保有者の多さは安全性を示しません。商品名だけで判断せず、投資対象や値動き、費用を確認することが大切です。
投資先を選ぶ基準|安定性に加えて費用や換金性も確認
運用先を選ぶ基準については、以下の回答が公表されています。
| 収益性(期待リターン) | 54.4% |
|---|---|
| 安定性(リスク) | 80.7% |
| 流動性(換金しやすさ) | 14.0% |
| 手数料 | 33.3% |
| 目標金額 | 7.0% |
| 投資期間 | 8.8% |
| その他 | 1.8% |
この調査では「安定性(リスク)」が最も多く選ばれました。ただし、安定性を重視すると答えていても、選んだ商品が実際に低リスクとは限りません。
資産運用では、値下がりの可能性に加え、必要なときに換金できるか、継続的な費用はいくらかも確認しましょう。

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60代におすすめの資産運用戦略
60代では、リターンの高さよりも、生活に合った投資額と取り崩し方を決めることが重要です。
まず収支を整理し、そのうえで長期・積立・分散やNISAを取り入れるかを考えましょう。
最初に年金収入と生活費の不足額を確認する
運用額を決める前に、年金や就労収入の手取り額と、毎月の支出を確認します。年金の見込額は「ねんきんネット」などで確認できますが、家計を考えるときは税金や社会保険料を差し引いた受取額を意識しましょう。手取り収入を使って計算する場合は、天引き済みの税金・保険料を支出にも計上しないようにします。
例えば、毎月の手取り収入が22万円、支出が27万円なら、不足額は月5万円、年間60万円です。この状態が5年間続くと仮定すると、不足額の合計は300万円になります。5年は説明用の期間であり、全員に同じ年数分の確保を勧めるものではありません。
このほか、年金受給開始までの生活費、住宅修繕、医療・介護などの臨時支出、物価上昇への備えも必要です。目先の数年分だけでなく、その後も生活費の不足が続くかを確認しましょう。必要額を先に確保し、残った資金のうち、値下がりしても生活に支障がない部分で運用を考えます。
「長期・積立・分散」は60代でも基本になる
長期・積立・分散は、60代の資産運用でも役立つ考え方です。ただし、すぐに使う資金まで長期投資に回すのではなく、長く使わない資金を対象に取り入れます。
長期投資では、短期の値動きだけで判断せず、利益を再投資することで複利効果を期待できます。ただし、運用益が出る保証はなく、10年以上保有すれば必ず元本が回復するわけでもありません。
積立投資は、決めた金額を定期的に購入する方法です。購入時期を分けられますが、一括投資より必ず有利になるわけではありません。退職後は、毎月の収支に無理がない金額を設定しましょう。
分散投資では、銘柄、業種、地域、資産の種類などを分けます。ただし、複数の商品を買っても投資対象が似ていれば、分散の効果は限られます。市場全体の下落では、複数の資産が同時に値下がりすることもあります。
生活に使うお金と運用するお金を分け、運用資金にも適切な分散を取り入れる方法がおすすめです。積立額を確保するために、生活費を削りすぎたり借入れをしたりする必要はありません。
投資先の候補|投資信託・債券・REITの特徴を比較
ここでは、投資先として比較しやすい以下の3つを紹介します。いずれも60代なら必ず保有すべき商品、というわけではありません。
- 投資信託
- 債券
- REIT(不動産投資信託)
| 投資先 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 投資信託 | 商品によっては少額から複数の銘柄や地域に分散できる | 元本保証はなく、投資対象によってリスクが異なる |
| 債券 | 利息や償還時期を見通しやすい商品がある | 信用・価格変動・為替などのリスクを確認する |
| REIT | 不動産に投資し、賃料収入などをもとに分配金を受け取る | 価格や分配金は金利・不動産市況などの影響を受ける |
投資信託は、投資家から集めた資金を運用会社が株式や債券などに投資する商品です。投資対象が幅広いファンドなら、個別銘柄を自分で組み合わせる負担を減らせます。
ただし、投資信託は元本保証ではありません。購入時手数料、保有中の信託報酬、換金時の費用などを確認し、同じような投資対象の商品では継続費用も比較しましょう。
債券は、国や企業などがお金を借りるために発行する商品です。一般的な固定利付債は利息や償還時期を把握しやすい一方、発行体が支払えなくなるリスクや、途中売却で損失が出る可能性があります。外貨建ての場合は、円換算した受取額が為替で変わる点も確認してください。
個人向け国債は1万円から購入でき、元利金の支払いを国が行います。原則として発行後1年間は中途換金できず、その後の換金では、直前2回分の各利子の税引前相当額に0.79685を掛けた金額が差し引かれます。死亡や所定の大規模災害には換金の特例があります。債券投資のリスクは商品によって異なるため、すぐに使う預金と同じ扱いにはしないでください。
国内債券投資信託も、個人向け国債とは別の商品です。市場金利の上昇などで基準価額が下がることがあり、購入した金額が一定の満期に戻ると約束されているわけではありません。
REITは、不動産に投資し、賃料収入や売却益などをもとに分配を行う仕組みです。実物不動産より小さな金額で投資できますが、上場REITの価格は変動し、分配金も一定ではありません。分配金の高さだけで選ばないようにしましょう。

分配金を受け取れる商品でも、資産残高を維持できるとは限りません。画像中の「減らさず使い続ける」は目標であり、運用結果の保証ではありません。投資信託の分配金は運用資産から支払われ、その分だけ基準価額が下がります。元本の一部払い戻しに相当する場合もあるため、受取額だけでなく、保有資産の値動きを含めた損益で判断してください。
運用と同時に、生活費の取り崩し方も決める
退職後は、資産を増やす計画だけでなく、毎年いくら使うかを考える必要があります。年金などで不足する生活費は、あらかじめ確保した預金から支払い、運用資産を売却する時期や金額を定期的に見直す方法があります。
相場が下がったときに投資信託から同じ金額を引き出すと、売却する口数が増え、回復時に運用に残る資金が少なくなります。近い将来の支出を預金などで確保しておくことは、下落時の売却を迫られにくくするためにも役立ちます。
ただし、取り崩すための預金も使えば減ります。毎年、残高と支出予定を確認し、必要に応じて支出額、売却計画、資産配分を調整しましょう。一定の割合で取り崩せば必ず一生資金が持つ、というルールはありません。
NISAは非課税メリットと注意点を確認して活用する
NISAは、対象商品の売却益や配当金・分配金を非課税にできる制度です。利用に年齢の上限はなく、60代でも日本国内に住んでいることなどの利用条件を満たせば口座を開設できます。
通常、課税口座で得た上場株式や公募株式投資信託などの利益には、原則として20.315%の税金がかかります。NISAでは対象となる利益が非課税になりますが、投資で損失が出るリスクは変わりません。
年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、合計360万円です。非課税保有限度額は取得金額ベースで1,800万円、そのうち成長投資枠で使える上限は1,200万円です。
非課税保有期間は無期限です。売却した商品の取得金額分は翌年以降に非課税保有限度額として再利用できますが、年間投資枠がその分だけ上乗せされるわけではありません。また、NISAの損失は課税口座の利益と損益通算できず、繰越控除もできません。

分配金を受け取る商品が、60代に一律に適しているわけではありません。個人向け国債や毎月分配型の投資信託はNISAの対象外です。上場株式や上場REITなどの配当金・分配金を非課税にするには、証券会社で受け取る「株式数比例配分方式」を選ぶ必要があります。一般の株式投資信託の分配金には、この受取方式の手続きは不要です。
60代でNISAを使う場合も、枠を使い切ることを目標にする必要はありません。生活資金を確保し、長く使わない余裕資金から少額ずつ活用することを優先しましょう。
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【リスク許容度別】60歳からの資産運用で考えたいポートフォリオ例
ポートフォリオとは、預金、債券、株式などをどのような割合で保有するかという資産の組み合わせです。ここでは、配分によるリスクの違いを考えるための例を紹介します。
以下は本記事の説明用の配分例であり、60代全員に適した推奨比率ではありません。生活用の預金を含む金融資産全体を100%とし、自宅などの不動産は含めていません。年金収入、支出予定、投資経験によって調整が必要です。
資産運用に回す割合|まず生活資金と余裕資金を分ける
「100-年齢」を株式などの割合の目安にする考え方もありますが、年齢だけで適切な投資割合は決まりません。同じ60歳でも、年金で生活費を賄える人と、貯蓄の取り崩しが必要な人では条件が異なります。
まず、生活費の不足や予定される支出を金額で確認しましょう。例えば、例示された預金比率では必要な生活資金を確保できない場合、預金を増やして運用資産を減らすことを優先します。

預金の保護範囲も確認してください。預金保険の対象となる一般預金等は、1人・1金融機関につき合算して元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。同じ銀行の別支店や別口座に分けても、この上限が増えるわけではありません。無利息・要求払い・決済サービスを提供できるという要件を満たす決済用預金は全額保護されます。
外貨預金は預金保険の対象外で、円へ戻すときに為替差損が出る可能性もあります。「預金」という名称だけで、円の生活資金と同じ安定性や保護があるとは考えないようにしましょう。
以下では、配分の違いを金額で比較するため、国内債券投資信託が10%、株式投資信託とREITがそれぞれ30%下落し、円預金と個人向け国債の残高は変わらないと仮定します。税金・費用・利息・取り崩しを除いた単純計算であり、相場予測や最大損失を示すものではありません。
安定重視型ポートフォリオ|円預金と個人向け国債を厚めにする
値動きのある資産を抑えながら運用する考え方の一例です。ただし、この配分でも金融資産の40%は価格が変動する投資信託やREITになります。
- 円預金:30%
- 個人向け国債:30%
- 国内債券投資信託:20%
- 株式投資信託:15%
- REIT:5%
前述の下落条件では、資産全体の減少率は8%です。金融資産が2,000万円なら、計算上は160万円減ることになります。「安定重視型」という名称でも元本保証ではないと理解しておきましょう。
この損失額を受け入れにくい人や、生活費の取り崩しが多い人は、投資信託やREITの割合をさらに減らして構いません。個人向け国債も原則として発行後1年間は換金できないため、すぐ使う資金は預金で確保する必要があります。
バランス型ポートフォリオ|債券と株式を組み合わせる
生活資金を確保しながら、株式などによる成長も考える配分例です。個人向け国債と債券投資信託は性質が違うため、内訳も示しています。
- 円預金:25%
- 個人向け国債・国内債券投資信託:30%(個人向け国債20%、国内債券投資信託10%)
- 株式投資信託:30%
- REIT:15%
前述の下落条件では、資産全体の減少率は14.5%です。金融資産が2,000万円なら、計算上は290万円減ります。預金や債券を組み合わせても、損失が小さく収まるとは限りません。
退職後も収入があり、値下がりした資産を急いで売らずに生活できるかを確認しましょう。REITを15%保有することは必須ではなく、必要性を感じなければ減らしたり、組み入れなかったりしても構いません。
積極型ポートフォリオ|長く使わない資金と損失への余力が必要
株式の割合を高めた配分例です。投資経験や資金余力があり、大きな下落があっても生活計画を維持できるかを慎重に確認する必要があります。
- 円預金:20%
- 個人向け国債・国内債券投資信託:20%(個人向け国債10%、国内債券投資信託10%)
- 株式投資信託:50%
- REIT:10%
前述の下落条件では、資産全体の減少率は19%です。金融資産が2,000万円なら、計算上は380万円減ります。実際には、この例より大きな損失が出る可能性もあります。
例えば10年以上使わない予定の資金でも、その期間で必ず損失が回復するとは限りません。購入時期を分けることはできますが、時間を分散するだけで高い株式比率のリスクがなくなるわけではないため、投資額そのものを慎重に決めましょう。

どの配分例でも、年金収入、支出予定、家族の状況などが変われば見直しが必要です。比率を守ることより、現在の生活に必要なお金を確保できているかを優先してください。
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60歳からの資産運用で大きな失敗を避けるための注意点
60代で資産運用を始める際は、特に以下の4点を確認しましょう。
- 生活資金まで投資に回さない
- 値動きの大きい商品に集中しない
- 売却条件を決め、感情だけで判断しない
- 定期的に資産配分と取り崩し計画を見直す
退職後は、運用で損失が出ても、給与から資金を補充しにくい場合があります。医療・介護や住宅修繕などの支出も想定し、必要なお金を値動きのある商品に回さないことが基本です。
個別株への集中投資や、FX、レバレッジ商品などは、大きな損失につながる可能性があります。老後資金の不足を短期間で取り戻そうとして、取引額やリスクを増やすことは避けましょう。
相場が下がったときも、不安だけで売却するのではなく、購入理由、必要な生活資金、許容できる損失を確認します。ただし、下落時の売却が必ず失敗なのではありません。保有する理由がなくなった場合や、取りすぎたリスクを減らす場合には、売却も必要な判断です。

画像中の「減らさない運用」は、大きな損失を避けることを目指す考え方です。値動きのある投資で損失を完全に防ぐことはできません。損失が出てから耐えようとするのではなく、購入前に金額を抑えることが大切です。
運用開始後は、値上がりによって株式の割合が増えていないか、生活費の取り崩しで預金が減りすぎていないかを確認しましょう。必要に応じて、入出金や一部売却で配分を調整します。
見直しは、例えば年1回に加え、再雇用の終了、大きな支出、相続などのタイミングで行うと整理しやすくなります。売買を繰り返しすぎないよう、費用や税金も確認してください。
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60歳からの資産運用は誰に相談する?
投資額や取り崩し方を自分だけで決めにくい場合は、専門家に相談する方法もあります。商品選びだけでなく、家計全体の整理から相談することが大切です。
相談先によって対応できる業務、取扱商品、費用が異なるため、何を相談したいのかを決めて比較しましょう。
相談先の選択肢|証券会社・FP・IFAの違い
資産運用の相談先には、以下のような選択肢があります。
- 証券会社のアドバイザー
- FP(ファイナンシャルプランナー)
- IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)
| 相談先 | 主な特徴 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 証券会社のアドバイザー | 取扱商品の提案や売買手続きを相談できる | 取扱商品 費用 提案理由 |
| FP | 家計やライフプランを含めて相談できる | 得意分野 相談料 登録・対応範囲 |
| IFA | 金融商品仲介業者やその所属担当者として、証券会社等から委託を受けて商品の仲介を行う | 所属金融商品取引業者等 報酬体系 取扱商品の範囲 |
証券会社では、取扱商品の説明や購入手続きなどを相談できます。投資方針の相談から取引までを、同じ窓口で進められる点が特徴です。
ただし、提案された商品が自分の目的に合うとは限りません。ほかの商品との違い、購入後にかかる費用、売却時の条件まで確認しましょう。
FPには、家計、年金、保険、住宅資金などを含めた一般的な相談ができます。資産運用を始める前に、老後の収支や必要な備えを整理したい場合に役立ちます。個別の税務・法律相談などは、別途資格や対応範囲の確認が必要です。
有価証券の価値等の分析に基づく投資判断について、報酬を得て助言を業として行う場合は、原則として投資助言・代理業の登録が必要です。FP資格だけで、あらゆる個別商品の助言や売買仲介ができるわけではありません。
金融商品仲介業者として活動するIFAは、証券会社などの委託を受けて有価証券の売買の媒介などを行います。具体的な商品の提案や取引支援を求める場合の相談先になりますが、仲介と運用を一任するサービスは別です。
IFAであっても、所属金融商品取引業者等、取扱商品、報酬の仕組みは異なります。「独立系」という名称だけで完全に中立だと判断せず、誰からどのような報酬を受け取るのかを確認してください。
信頼できるアドバイザーを選ぶための確認事項
相談先を比較するときは、肩書きや実績の説明だけでなく、以下の点を確認しましょう。
- 業務に必要な登録や所属先、対応できる範囲が明確である
- 手数料・報酬・商品のリスクを具体的に説明してくれる
- 年金収入、生活費、支出予定、リスク許容度を確認してくれる
- 購入後の相談や見直しの内容・費用を説明してくれる
金融商品の仲介や投資助言を利用する場合は、金融庁の事業者一覧などで、会社名や必要な登録を照合しましょう。ただし、登録があることは、利益や商品の安全性を保証するものではありません。
「必ず利益が出る」「老後資金の不足をすぐ取り戻せる」といった勧誘や、契約・送金を急がせる説明には注意が必要です。SNSで紹介された相手も、肩書きや画像だけで信頼せず、登録業者へのなりすましも想定して公式の連絡先から確認してください。
相談には、資産の一覧、年金等の見込収入、毎月の支出、今後の大きな支出予定をまとめて持参すると役立ちます。同じ条件で複数の相談先を比較し、理解できない商品はその場で契約しないようにしましょう。
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60代からの資産運用は生活に合う方法で始めよう
60代からも資産運用は検討できますが、投資を始めること自体を目標にする必要はありません。長い老後生活と物価上昇に備えながら、生活資金を確保することが優先です。
まず、年金などの手取り収入と支出を確認し、不足額と臨時支出の備えを整理しましょう。そのうえで、長く使わない資金について、無理のない投資額と分散方法を考えます。
NISAは利益を非課税にできる制度ですが、損失を防ぐ制度ではありません。枠を埋めるために投資額を増やさず、対象商品や損失の取扱いも理解して活用してください。
本記事のポートフォリオは、配分による違いを考えるための例です。割合だけをまねるのではなく、値下がりした場合の損失額と、取り崩しながら生活を続けられるかを確認しましょう。
自分だけでは整理しにくい場合は、証券会社、FP、IFAなどへの相談も利用できます。相談先の業務範囲、登録、報酬、継続的な対応を確認し、説明に納得してから判断することが大切です。
最初の一歩は、商品を買うことではなく、守るお金・使うお金・運用できるお金を分けることです。現在の生活に合った計画を作り、収入や支出が変わったら見直していきましょう。

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出典
厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表の概況|主な年齢の平均余命」
総務省統計局「消費者物価指数(CPI)全国 2025年(令和7年)平均」(公開日:2026年1月23日)
アドバイザーナビ株式会社「【2024年6月調査】60代の資産運用に関するアンケート調査」(公開日:2024年9月27日)
日本年金機構「ねんきんネットによる年金見込額試算」
金融庁「資産形成の基本」
金融庁「NISAを知る」
国税庁「No.1535 NISA制度」
日本証券業協会「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項」
資産運用業協会「投資信託とは」
資産運用業協会「基準価額と分配金」
資産運用業協会「投資信託のコスト」
財務省「個人向け国債窓口トップページ」
財務省「『変動10年』商品概要」
金融庁「預金保険制度」
金融庁「金融サービス利用者相談室|預金・融資等に関する相談等」
日本取引所グループ「概要(REIT)」
財務省関東財務局「登録に係るQ&A(投資助言・代理業)」
金融庁「投資運用業等 登録手続ガイドブック|事業スキーム別の登録要否・種別」
厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「独立系ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)」
日本証券業協会「金融商品仲介業者」
金融庁「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」
金融庁「それ詐欺です!SNS上の投資勧誘にご注意ください!」

