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退職金運用はこれに注意!失敗談から学ぶ退職金の正しい運用方法

退職金は、退職後の生活を支える大切な資金だ。

退職金の運用を考えるときは、商品選びより先に、生活費や今後の支出に必要な金額を確認しよう。そのうえで、当面使わず、値下がりしても生活に支障がない資金を運用に回すことが基本となる。

特に、資産運用の経験が少ない方が、リスクを理解しないまま退職金の大部分を投じると、下落時に冷静な判断が難しくなる。

損失を完全に避ける投資方法はないが、投資額、資産配分、費用、資金を使う時期を整理すれば、生活設計を崩すような失敗を防ぎやすくなる。

本記事では、退職金運用の失敗談をもとに、リスクと対処法、資金管理のポイントを解説する。

専門家に相談するメリットや相談先の選び方も紹介するので、自分に合った退職金運用を考える参考にしてほしい。

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目次

退職金運用で損をした失敗談|回答から見える5つのパターン

弊社アンケートでは、「退職金運用で損したことはありますか?」と質問し、「はい」と回答した人に具体的な経験を尋ねた。

以下は寄せられた回答を5つのパターンに整理したものだ。損失額や原因は回答者の申告・認識に基づき、取引記録で検証したものではない。また、引用中の「現在」「去年」などは回答時点の表現であり、現在の相場状況を示すものではない。

  • 過剰にリスクを取って資産が減ってしまった
  • 相場の下落で慌てて売ってしまった
  • ブームに乗って投資を始めて損をした
  • 周囲の勧めで商品を買って損をした
  • 手数料がかさんだ

これらの回答から、失敗の発生頻度や利用者全体の傾向までは判断できない。ただし、「投資額が大きすぎなかったか」「リスクを理解していたか」「費用を確認したか」を考える材料になる。

それぞれの体験談と、同じような状況を避けるための注意点を見ていこう。

過剰にリスクを取って資産が減ってしまった

退職金を大きく増やそうとして、FXや暗号資産、特定の個別株などにまとまった資金を投じ、損失を抱えたという回答があった。

商品の仕組みを理解していても、生活に必要な資金まで投じれば、家計にとってのリスクは大きくなる。投資対象だけでなく、投資額や集中度も確認する必要がある。

アンケートに寄せられた声は以下のとおりだ。

資産を増やそうと思い初めてfxをしていた。あまりfxの勉強や分析をせずに始めたため増える時と減る時の差が激しく結局損をした。

仮想通貨の取引で、マイナー仮想通貨に投資したが、通貨が存在しないものになった。結果、投資したお金は無意味になってしまった。

株式投資にすべて注ぎ込んだ結果、大きな損失を出してしまった経験があります。当時、市場が好調だったためにリスクを考慮せずに投資を行いましたが、突然の株価急落で資産の大部分を失いました。

株式での投資経験を利用して、退職金の一部を使ってFX投資を始めました。経験がないのに、大胆な勝負を行って1200万円をすってしまいました。

FXは証拠金に対して大きな金額を取引できるため、値動きが損益に大きく影響する。相場急変時には、預けた証拠金を超える損失が生じることもある。株式投資の経験があっても、同じ感覚で取り組めるとは限らない。

暗号資産にも大きな価格変動や取引できなくなるリスクがある。退職金運用では、期待する利益より先に、損失が出た場合の生活への影響と、理解できない商品に投資していないかを確認しよう。

相場の下落で慌てて売ってしまった

金融商品を購入した後、相場下落への不安から売却し、後悔したという回答も寄せられた。

まとまった金額を投資すると、同じ下落率でも損失額は大きくなる。値動きを割合だけで考え、実際に何万円減る可能性があるかを想定していないと、投資後に不安が強まることがある。

アンケートに寄せられた声は以下のとおりだ。

入社から10年勤めた会社の退職金百数十万円を外国株式で運用しようとした。ちょうどコロナ禍になり株が下がり慌てて売却したら大損してしまった。

一時期、外貨預金を行っていたが、円高傾向になった時に怖くなって損失覚悟で解約してしまった。その後現在の円安となっており、あの時解約しなければ大きな増収が見込めた。

一括買付でナスダック100を退職金の1/3を買付してしまいリスク許容度が高くないのに、少しの暴落で動揺してしまい、損切りしてしまった。

退職金1500万円を受け取って株を購入したが、コロナショックで500万円になってしまい損切りして大損しました。

ただし、下落時の売却が必ず失敗とは限らない。生活資金が必要になった、投資先の状況が悪化した、過大なリスクを取っていたとわかった場合には、損失が出ていても売却が必要になることがある。

大切なのは、「売らなければ必ず戻る」と考えることではない。投資前に使う時期と許容できる損失額を決め、下落時には保有理由や家計への影響を確認して判断することだ。

ブームに乗って投資を始めて損をした

話題の商品や銘柄に投資し、期待した成果を得られなかったという声もある。

過去の値上がりは将来の利益を保証しない。人気が高まった商品は、購入時点ですでに期待が価格に織り込まれている場合もある。

アンケートに寄せられた声は以下のとおりだ。

米国株ブームで参入したが額を倍にする事を目指して半分以下に減らしてしまった。堅実な投資がやはり望ましいと反省している

具体的には、2020年に、当時好調だったファンドを購入しました。当初は順調に値上がりしていたのですが、2020年3月に新型コロナウイルスの影響で市場が急落し、数ヶ月で20%以上の損失を出してしまいました。

株式投資にで盛り上がっている銘柄に全額入れて一時は200万ほど利益が出ていたところ利益確定せずにもっていたら暴落してストップ安張り付いて三日後にマイナス400万になった

話題の商品だから悪いとは限らないが、人気だけを購入理由にすると、下落時に判断の根拠を失いやすい。投資対象、集中度、費用、想定する保有期間を確認し、特定の国・業種・銘柄に資金を偏らせすぎないようにしよう。

周囲の勧めで商品を買って損をした

知人や友人の話をきっかけに、商品やリスクを十分に理解せず投資したという回答もあった。

他人の経験は参考になるが、その人の資産額、収入、資金を使う時期、損失への耐性が自分と同じとは限らない。

アンケートに寄せられた声は以下のとおりだ。

香港株が伸びると言われて退職金の一部をある企業に注ぎ込みましたが、いきなりの暴落で損失が出てしまいました。

普通預金の金利が低いので、友人に相談したところ、株がいいと聞いたので適当に購入したら損をしてしまいました。

去年の夏ほどに半導体の企業が儲かると聞きそれを退職金で半導体の企業株を手に入れようと思い手に入れたがその時にロシアウクライナ戦争が原因でおきな損失が出た

口コミにある値下がりの原因は回答者の認識であり、個別銘柄の下落理由を特定したものではない。投資を判断するときは、他人の説明だけでなく、商品の資料や発行体の情報も確認しよう。

「必ず儲かる」「元本保証で高利回り」などの勧誘にも注意が必要だ。知人からの紹介でも、その場で送金せず、提供事業者や登録の要否・登録状況、契約内容を確かめたい。

手数料がかさんだ

売買や保有に伴う費用が負担になったという声も寄せられている。

不要な乗り換えを繰り返したり、保有中の費用を確認せずに契約したりすると、想定より手取りが少なくなる場合がある。

アンケートに寄せられた声は以下のとおりだ。

投資商品のスイッチングをたくさん行ってしまった結果、手数料だけかさんでしまい、利益はさほど生むことができませんでした。

証券会社の口座に入れっぱなしにしており、年々手数料分だけ目減りしています。毎年通知が来るたびにがっかりしています。

後者の回答だけでは、口座管理料なのか、投資商品の保有費用なのかは特定できない。証券口座に資金を置くだけで必ず手数料がかかるわけではなく、契約しているサービスや保有商品によって異なる。

投資信託では、購入時手数料がかからない商品もある一方、保有中は運用管理費用(信託報酬)などが信託財産から差し引かれる。換金時に信託財産留保額を負担する商品もあるが、これは販売会社が受け取る手数料とは異なる。

目論見書や手数料表で、「何の費用が、いつ、どの程度かかるか」を確認しよう。運用報告書や取引明細で、値下がりと費用負担を分けて把握することも大切だ。

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退職金運用で注意したい3つのリスク・負担と対処法

退職金運用では、商品の値動きに加え、自分の判断や費用負担にも注意する必要がある。

ここでは、失敗談に関係する主なポイントを次の3つに整理する。

  • 市場変動による損失リスク
  • 焦りや不安による判断のリスク
  • 手数料・税金による負担

このほか、発行体の信用悪化や、希望する時期・価格で換金できないリスクもある。商品ごとに確認すべき点が異なることを押さえておこう。

市場変動のリスク|元本保証ではない商品は値下がりする可能性がある

株式・債券・投資信託・REITなどの価格は、景気、企業業績、金利、不動産市況などの影響を受けて変動する。

外国資産では、投資先の価格に加えて為替も損益に影響する。現地通貨で値上がりしていても、円高によって円換算の評価額が減る場合がある。

債券も、一般に市場金利が上がると価格が下がりやすい。満期前に売却する場合の損益は、購入価格や売却価格によって変わるため、「債券なら値下がりしない」とは考えないようにしたい。

退職後に資産を取り崩す場合は、下落中に生活費のための売却を続けると、回復時に運用へ回せる資産が減ってしまう。値動きだけでなく、売却が必要になる時期も重要だ。

市場変動リスクの対処法

まず、当面の生活資金と長期間使わない資金を分ける。そのうえで、運用する部分は値動きの異なる資産や地域に分散することを考えよう。

株式だけに集中する場合に比べ、預貯金や個人向け国債などを組み合わせることで、資産全体への値下がりの影響を抑えやすくなる。

購入時期を数回に分ければ、一度のタイミングに資金を集中させずに済む。ただし、時間分散は損失を防ぐ保証ではなく、相場が上昇し続ける場合には、一括投資より利益が小さくなることもある。

分散しても複数の資産が同時に下落する場合がある。生活費や予定支出を確保したうえで、投資額そのものを無理のない範囲に抑えることが大切だ。

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心理的リスク|焦りや欲が判断を誤らせることがある

退職金運用では、相場の動きに対する自分の反応も考えておきたい。

値下がりへの不安から計画を変えたり、値上がりを見て投資額を増やしすぎたりすると、当初想定したリスク水準から離れてしまう。

投資経験があっても、退職金のような大きな金額では、それまでと違う不安を感じる場合がある。経験年数だけで、値下がりに耐えられると判断しない方がよい。

また、損失を早く取り戻そうとして高リスク商品へ乗り換えると、さらに損失が拡大するおそれがある。過去の購入額ではなく、今の家計と目的に合うかを基準に考え直そう。

心理的リスクの対処法

相場が大きく動く前に、投資額や見直しの基準を決めておくと、感情だけで判断しにくくなる。

例えば、次のようなルールを整理しておこう。

  • 退職金のうち、値下がりする商品に投じる上限額を決める
  • 生活費や近いうちに使う資金は、運用資金と分ける
  • 下落時は家計・保有理由・資産配分を確認してから、保有・売却・追加投資を判断する
  • 年1回や生活環境が変わったときなど、見直す時期を決める

過去に相場が回復した例があっても、個別の商品や銘柄が必ず回復するわけではない。下落時の追加投資も、余裕資金と投資上限額を確認してから判断する必要がある。

値動きが気になって生活に支障が出る場合は、無理に耐え続けず、投資額や資産配分を見直そう。

手数料・税金の負担|利益が出ても手取りは少なくなる

手数料や税金は、市場変動とは性質が異なるが、手元に残る金額を左右する重要な要素だ。

投資信託では、信託報酬に加え、監査報酬や組入資産の売買委託手数料などを間接的に負担する。購入時や換金時の費用の有無・水準も商品によって異なる。

課税口座での上場株式等の売却益には、原則として20.315%の税率が適用される。上場株式等の配当や公募株式投資信託の普通分配金も原則20.315%が源泉徴収されるが、申告方法や所得の種類などによって扱いが異なる。

投資信託の分配金には、利益ではなく元本の払い戻しに相当するものもある。分配金の多さだけで運用成果を判断せず、評価額の増減と費用を合わせて確認しよう。

手数料・税金の負担への対処法

商品を比較するときは、投資対象や運用方針が近いもの同士で、費用とサービス内容を確認することが大切だ。

特に投資信託を選ぶ場合は、購入時手数料だけでなく、継続してかかる信託報酬や運用報告書に記載された費用も確認しよう。

対象商品を運用する場合は、NISAの活用も考えられる。成人向けの年間投資枠は、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円の合計360万円。非課税保有限度額は取得価額ベースで1,800万円、そのうち成長投資枠は1,200万円までだ。

非課税保有限度額は、生涯の累計買付額を1,800万円に制限するものではない。売却した商品の取得価額分は翌年以降に再利用できるが、再利用時も年間投資枠の範囲内となる。

NISA口座の損失は、課税口座の利益との損益通算や繰越控除ができない。NISAは損失を防ぐ制度でもないため、枠を使い切ることより、家計に合った投資額を優先しよう。

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失敗談から学ぶ退職金運用のポイント

退職金運用で生活設計を崩さないためには、商品を選ぶ前の準備が重要だ。

紹介した失敗談を踏まえ、次のポイントを確認しておこう。

  • 生活費・使う予定の資金を先に分ける
  • リスク許容度を把握する
  • 長期的に分散投資を行う
  • 定期的に見直しを行う

運用で不足資金を必ず補えるとは限らない。年金、働き方、支出の見直しも含めて、無理のない計画を立てよう。

生活費・使う予定の資金を先に分ける

最初に確認したいのは、退職金の残高ではなく、退職後の収入と支出の差額だ。

年金や給与などの手取り収入と、税金・社会保険料を含む支出を整理し、毎月いくら資産から補う必要があるかを見積もろう。

医療・介護費、住宅修繕費、住宅ローン返済、家族への支援など、まとまった支出も別に確認する。年金受給開始前と開始後では不足額が変わることにも注意したい。

そのうえで、当面の不足額と予定支出、緊急時の予備費を、必要な時期に使える預貯金などで確保する。生活費全額の何年分が必要かは、年金などでまかなえる割合によって異なる。

例えば、毎月の支出が25万円、手取りの年金等が20万円なら、不足額は月5万円、年60万円となる。仮に3年分の不足額を確保する方針なら180万円に、住宅修繕などの予定支出と予備費を加えて考える。

この3年は計算例であり、一律の必要年数ではない。収入の安定性、健康状態、家族構成、他の預貯金などに合わせて調整しよう。

退職金のすべてを投資に回さず、必要資金を除いた余剰資金の範囲で運用を検討することが大切だ。

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リスク許容度を把握する

リスク許容度とは、損失が出た場合に、生活面と心理面の両方でどの程度まで受け入れられるかという度合いだ。

「値下がりしても気にならない」という気持ちがあっても、生活費が不足するなら投資額を抑える必要がある。反対に、資金に余裕があっても不安が強ければ、無理にリスクを取る必要はない。

損失は割合だけでなく金額でも考えよう。例えば500万円を投資し、評価額が20%下がると損失は100万円になる。ただし、20%は計算例であり、最大下落率を示すものではない。

次の項目を合わせて確認すると、自分に合う投資額を考えやすい。

確認項目見方
年齢・使う時期年齢だけでなく、資金をいつ取り崩すかを確認する
資産・収支年金等で生活費をまかなえるか、損失が出ても必要支出を払えるかを確認する
投資経験商品の仕組みや値動きを理解しているかを確認する。経験だけで投資額を増やさない
心理面具体的な損失額を想定し、不安で生活に支障が出ないかを考える

老後資金が足りないという理由だけで、高い利回りを狙うのは避けたい。必要な利回りと、自分が負担できるリスクは別の問題だからだ。

家計で負担できる範囲と、自分が納得できる範囲の両方を満たす投資額・資産配分を考えよう。

長期的に分散投資を行う

長期間使わない資金を運用する場合は、特定の商品や市場に偏らない分散投資が基本となる。

株式・債券など値動きの特徴が異なる資産や、国内外の地域に分けることで、特定の投資先が下落したときの影響を抑えやすくなる。

ただし、商品をいくつも買えば分散できるとは限らない。複数の投資信託が同じ国や業種、企業へ多く投資している場合もあるため、中身の重複を確認しよう。

一括投資に不安がある場合は、予定した投資額を一定期間に分けて購入する方法もある。購入期間や上限額を決め、相場の勢いだけで計画を変えないことが大切だ。

利益を再投資すれば複利効果を期待できるが、利益が出ることが前提となる。長期保有しても元本が保証されるわけではない。

退職後は、長期運用と生活費の取り崩しを同時に考える必要がある。使う時期が近づいた資金は、必要に応じて預貯金などへ移し、売却時期を一度に集中させない工夫も検討しよう。

NISAも運用方針に合わせて利用する制度だ。非課税枠の消化を目的に、生活資金まで投資することは避けたい。

定期的に見直しを行う

退職金運用は、金融商品を購入して終わりではない。

年1回などの定期的な確認に加え、収入・健康状態・家族への支援予定が変わったときにも、計画を見直そう。

株式の値上がりによって保有比率が高くなると、当初より値下がりの影響を受けやすくなる場合がある。

必要に応じて一部を売却し、預貯金や債券などへ配分し直すリバランスを検討する。ただし、少しの比率のずれで頻繁に売買するのではなく、取引費用や税金も踏まえて判断したい。

資産配分だけでなく、生活費の不足額、取り崩しのペース、予定支出、保有商品の費用も確認する。年齢が同じでも、収支や資産額によって適切な配分は変わる。

損失が出ている場合も、取り戻そうとして投資額を増やす前に、保有を続ける理由と家計への影響を確認しよう。

見直しは必ず売買することではない。現状を確認し、計画どおり保有を続ける判断も含まれる。

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退職金運用で失敗したくない人は専門家への相談も検討しよう

退職金運用では、家計、年金、資産配分、商品ごとの費用やリスクを合わせて考える必要がある。

自分だけで整理するのが難しい場合は、資産運用や家計管理の専門家に相談することも選択肢となる。

相談先によって得意分野、商品販売の有無、報酬体系は異なる。商品を買う前に、どこまで相談できるかを確認しよう。

退職金運用を専門家に相談するメリット

専門家への相談は、一般的な投資情報を、自分の家計や予定に当てはめて考える助けになる。

SNSや書籍で紹介される運用例が、自分の年金額、支出、家族構成、退職後の働き方に合うとは限らない。

収入と支出、資産と負債、今後の予定を伝えれば、預貯金で確保する金額と、運用に回せる金額を整理しやすくなる。

すでに商品を提案されている場合も、目的との適合性や費用を別の相談先で確認する方法がある。商品資料や提案書を用意すると、具体的に比較しやすい。

ただし、専門家に相談しても損失を防げるとは限らない。担当者の説明を理解できるか、商品購入を急がせないか、費用や他の選択肢を説明してくれるかを確認しよう。

相談先の選択肢

退職金運用の相談先には、例えば次のような選択肢がある。

  • 証券会社
  • FP(ファイナンシャルプランナー)
  • IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)
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相談先相談しやすい内容確認したい点
証券会社取扱金融商品の説明・提案や売買手続き相談サービスの有無
商品・取引の費用
取扱商品の範囲
FP家計、年金、保険、老後資金計画の整理資格・専門分野
相談料と収益源
対応できる業務
IFA資産運用の相談、取扱金融商品の提案・仲介所属先等の登録状況
提携する証券会社
報酬体系・継続支援

証券会社は、具体的な金融商品の説明や売買手続きを相談しやすい。対面や電話で担当者に相談できるかは、会社や口座のサービスによって異なる。

商品を販売する立場でもあるため、提案理由、取扱範囲、購入時と保有中の費用を確認したい。

FPは、生活費、年金、保険、住宅ローンなどを含めて、退職後の資金計画を整理する際の相談先となる。

退職金をいくら運用するか決める前に、将来の収支を確認したい場合に利用しやすい。ただし、得意分野や業務範囲には個人差がある。

FPの資格や登録状況も確認しよう。FP資格だけで、金融商品の売買仲介や投資助言業務などを行えるわけではないため、具体的に希望する相談に対応できるかを確かめる必要がある。

IFAは一般に、金融商品仲介業者やその業務に従事するアドバイザーを指し、証券会社等の委託を受けて有価証券の売買の媒介などを行う。

複数の証券会社と提携している場合もあるが、市場にあるすべての商品を提案できるわけではない。口座や資産は、取引先となる証券会社等で管理される。

相談料が無料でも、商品販売などに伴う報酬で運営している場合がある。有料・無料だけで中立性を判断せず、収益源、取扱商品、継続サポートの内容を確認しよう。

どの相談先でも、その場で契約を決める必要はない。提案書や費用の説明を持ち帰り、自分の目的に合うかを比較して判断することが大切だ。

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失敗談を参考に退職金を守りながら運用しよう

退職金運用の失敗談には、投資額や集中度が大きすぎた、相場に動揺した、人気や他人の勧めだけで購入した、費用を十分に把握していなかったという声があった。

大切なのは、損失を一切出さないことを目指すより、生活を支える資金を危険にさらさない計画を作ることだ。

まずは年金などの収入と支出を確認し、当面の不足額、予定支出、予備費を確保しよう。そのうえで、値下がりしても生活に支障がない資金の運用を検討したい。

長期・分散投資やNISAは役立つ選択肢だが、損失を防ぐ保証ではない。投資額、資産配分、費用、取り崩しのペースを定期的に確認することが重要となる。

自分だけで判断しにくい場合は、証券会社、FP、IFAなどに相談し、提案理由や報酬体系を確認しながら運用方針を決めていこう。

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退職金運用に関するよくある質問

退職金は運用する必要がありますか?

退職金を必ず投資に回す必要はない。年金などの収入、今後の支出、保有資産を確認し、必要性と負担できるリスクから判断する。

当面の生活費の不足分や予定支出は、預貯金など必要な時期に使える形で確保しておくことが大切だ。

一方、物価上昇率が預金の税引後利回りを上回れば、預金の実質的な購買力は低下する。ただし、インフレが心配という理由だけで、生活資金まで投資する必要はない。

当面使わない資金があり、値下がりを受け入れられる場合に、その一部で長期的な運用を検討するとよい。

退職金運用でおすすめの投資商品はありますか?

一律におすすめできる商品はない。生活資金を預貯金で確保したうえで、運用期間や目的に応じて、例えば次の商品を検討する。ただし、リスクの大きさはそれぞれ異なる。

  • 投資信託
  • REIT(不動産投資信託)
  • 個人向け国債

投資信託は、投資家から集めた資金を株式や債券などで運用する商品だ。投資対象や地域によって値動きが異なるため、商品数だけでなく中身を確認する必要がある。

少額から分散投資しやすい一方、元本保証はなく、信託報酬などの費用を負担する。

REITは不動産に投資する商品で、賃料収入などを原資とした分配金が期待できる。ただし、不動産市況や金利、災害などの影響で価格や分配金が下がる場合があり、生活費を確実に確保するための商品とは区別したい。

個人向け国債は、国が元本と利子を支払う円建ての商品で、価格変動による元本割れがない仕組みだ。一般の債券や債券型投資信託とは異なる。

ただし、発行後1年間は原則として中途換金できない。中途換金時には原則、直前2回分の各利子(税引前)相当額に0.79685を乗じた調整額が差し引かれる。保有者の死亡や一定の災害の場合には、1年以内の換金にも特例がある。

元本の安全性だけでなく、いつ現金化できるか、物価上昇にどこまで対応できるかも確認し、自分の資金計画に合う商品を選ぼう。

退職金を運用しない方が良いケースはありますか?

次のような場合は、退職金を無理に値下がりリスクのある商品へ投資しない方がよい。

  • 退職金を当面の生活費や必要支出に使う場合
  • 転職や引っ越しなど、近いうちに使う予定がある場合
  • 損失が出ると生活や心理面に大きな影響が出る場合

投資を考える前に、年金等で足りない生活費、予定支出、緊急時の予備費を確保しよう。

必要な支出で退職金を使い切る見込みなら、運用益を当てにするより、支出や働き方も含めた資金計画の見直しを優先したい。

早期退職後の転職活動費や引っ越し費用に使う場合も、必要な時期に確実に引き出せる預貯金などで管理することが基本となる。

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出典

金融庁「NISAを知る」
金融庁「資産形成の基本」
国税庁「No.1535 NISA制度」
国税庁「No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」
国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」
金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」
金融庁「暗号資産の利用者のみなさまへ」
資産運用業協会「投資信託のコスト」
日本取引所グループ「概要(REIT)」
財務省「個人向け国債窓口トップページ」
財務省「個人向け国債の中途換金についてのよくある質問」
日本FP協会「FPに相談する」
日本金融商品仲介業協会「IFAに相談する」

この記事を書いた人

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