銀行で投資信託を買うこと自体は、選択肢の一つです。
ただし、銀行は投資信託の「販売会社」であり、購入時手数料や信託報酬の一部が収益になる場合があります。そのため、提案された商品をそのまま購入するのではなく、手数料・リスク・取扱商品の範囲・購入後のフォロー体制を確認することが大切です。
銀行には、身近な窓口で相談できる、預金やローンも含めて資産全体の相談がしやすいといったメリットがあります。一方で、商品ラインアップが限られる場合や、店頭で相談できる商品とネット専用商品が分かれている場合もあります。
本記事では、銀行が投資信託をすすめる理由、銀行で相談するメリット・デメリット、銀行以外の相談先を整理します。
これから投資信託の購入を考えている人だけでなく、すでに銀行で投資信託を保有している人も、今後の見直しに役立ててください。
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銀行が投資信託をすすめる理由とは|手数料収入と顧客ニーズの両面がある
銀行が投資信託をすすめる理由は、大きく分けると2つあります。
- 顧客の資産形成ニーズに応えるため
- 投資信託の販売によって手数料収入を得られるため
銀行が投資信託をすすめること自体は、悪いことではありません。預金だけでは資産形成が進みにくい人にとって、投資信託は長期投資の選択肢になります。
一方で、銀行には販売会社としての収益構造があります。投資家側もその仕組みを理解したうえで、提案内容が自分に合っているかを確認する必要があります。
長く続いた低金利環境の中で、手数料ビジネスが重視されてきた
銀行の主な収益源の一つは、預金で集めた資金を貸し出すことで得る利ざやです。
日本では長く低金利環境が続いたため、銀行は預貸金利ざやだけに頼らない収益源を広げてきました。その一つが、投資信託や保険などの金融商品の販売による手数料収入です。
ただし、現在は「低金利だから銀行経営が一方的に厳しい」とだけ説明するのは不正確です。日本銀行は2025年1月に、無担保コールレート(オーバーナイト物)を0.5%程度で推移するよう促す方針を決定しています。
そのため、銀行が投資信託をすすめる背景は、単に低金利だけではなく、資産形成ニーズへの対応と、販売会社としての手数料収入の両面から理解するのが自然です。
購入時手数料と信託報酬の一部は販売会社の収益になる
投資信託には、主に以下の費用があります。
- 購入時手数料
- 購入時に販売会社へ支払う費用。商品や販売会社によっては無料の場合もあります。
- 運用管理費用(信託報酬)
- 保有中に信託財産から差し引かれる費用。運用会社・販売会社・信託銀行に配分されます。
- 信託財産留保額
- 換金時などにかかる場合がある費用。販売会社の収益ではなく、ファンドの信託財産に留保されます。
このうち、銀行などの販売会社の収益につながるのは、主に購入時手数料と信託報酬の販売会社分です。
たとえば、購入時手数料が税込3.3%の商品を100万円購入した場合、単純計算では3万3,000円が購入時の費用になります。購入時手数料がない「ノーロード」の商品もあるため、同じような投資対象の商品であれば、手数料の差を比較することが重要です。
一例として、みずほ銀行は投資信託の注意事項で、購入時手数料は最大3.575%、運用管理費用は最大年率2.31%、信託財産留保額は最大0.50%と案内しています。実際の費用は商品ごとに異なるため、購入前に目論見書や目論見書補完書面で確認しましょう。
営業目標や評価制度が提案に影響する可能性がある
銀行によって評価制度は異なりますが、投資信託の販売額や預かり資産残高、手数料収入などが営業上の指標になることがあります。
金融庁も、販売会社が顧客本位の金融商品販売を実践するには、営業目標や業績評価体系が顧客本位の販売行動を促すものになっているかが重要だとしています。
つまり、銀行窓口で提案を受けるときは、担当者の説明を否定的に見る必要はありませんが、以下の点を自分で確認することが大切です。
- なぜその商品をすすめるのか
- 投資目的・運用期間・リスク許容度に合う理由を説明してもらう
- 同じ投資対象の低コスト商品と何が違うのか
- 購入時手数料、信託報酬、運用実績、リスクを比較する
- 購入後のフォローはどのように行われるのか
- 定期的な見直し、担当者変更時の対応、解約時の相談方法を確認する
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銀行に投資信託を相談するデメリット
銀行は身近で相談しやすい一方、投資信託を購入する場としては注意点もあります。
特に確認したいのは、手数料、商品ラインアップ、説明の深さ、購入後のフォロー体制です。
手数料が高い商品をすすめられることがある
銀行窓口では、購入時手数料や信託報酬が高めの商品を提案されることがあります。
手数料が高い商品でも、運用方針やサポート内容に納得できるなら、必ずしも避けるべきとは限りません。しかし、以下のような場合は注意が必要です。
- 購入時手数料や信託報酬の説明が不十分
- 費用を理解しないまま契約すると、後から「思ったよりコストが高い」と感じる可能性があります。
- 投資目的やリスク許容度と合っていない
- 短期で使う予定の資金に、値動きの大きい商品を組み入れると、必要なときに損失が出ている可能性があります。
- 低コスト商品との比較がない
- 同じ投資対象のインデックスファンドなどと比較しないと、コストに見合う価値があるか判断しにくくなります。
提案を受けたら、目論見書だけでなく、手数料の一覧や重要情報シートも確認しましょう。
取扱商品や店頭で相談できる商品が限られることがある
銀行の投資信託は、金融機関や口座種別によって取扱範囲が異なります。
たとえば、同じ銀行でも「銀行の投資信託口座」「金融商品仲介口座」「インターネット専用ファンド」で、買える商品や相談できる窓口が分かれる場合があります。
三菱UFJ銀行では、インターネット専用ファンドは店舗で取り扱っておらず、店頭窓口や電話での相談も受けていないと案内しています。みずほ銀行も、みずほインターネット専用投信については、店舗等での商品説明や相談を行っていないとしています。
銀行で投資信託を選ぶときは、取扱本数の多い・少ないだけでなく、以下を確認しましょう。
| 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 取扱商品 | 自分が買いたい資産クラスや低コスト商品があるか |
| 購入時手数料 | 同じ商品でも販売会社によって異なる場合がある |
| NISA対象商品 | つみたて投資枠・成長投資枠で買える商品か |
| 相談できる範囲 | 店頭・電話・オンライン・ネット専用で対応が違うか |
| 口座の種類 | 銀行口座なのか、提携証券会社の金融商品仲介口座なのか |
取扱本数が多いほど良いとは限りません。しかし、選択肢が少ないと、低コストの商品や自分に合う商品を比較しにくくなる可能性があります。
担当者によって説明の深さに差が出ることがある
銀行には投資信託に詳しい担当者もいますが、支店や担当者によって説明の深さに差が出ることがあります。
特に、複雑な仕組みの商品、為替リスクを含む商品、毎月分配型の商品、テーマ型ファンドなどは、リスクやコストを十分に理解してから購入する必要があります。
- リスクの説明が具体的か
- 「長期なら安心」だけでなく、どのようなときに値下がりするかを確認しましょう。
- 分配金の仕組みを説明してくれるか
- 分配金は利益だけでなく、元本の一部払い戻しにあたる場合もあります。
- 代替案を出してくれるか
- 1本だけをすすめるのではなく、低コスト商品や異なるリスクの商品と比較できるかが重要です。
長期的なフォローが担当者や店舗体制に左右される
投資信託は、購入して終わりではありません。運用目的や家計の状況が変われば、積立額や保有商品を見直す必要があります。
銀行では担当者の異動や店舗体制の変更により、同じ担当者から長く継続的にフォローを受けられない場合があります。
- 見直しのタイミングが曖昧になる
- 相場が下がったときやライフイベントが近づいたときに、誰へ相談すべきか分からなくなることがあります。
- 提案方針が担当者によって変わる
- 担当者変更後に、以前とは異なる商品への乗り換えをすすめられる場合は、理由とコストを確認しましょう。
預金と同じ安心感で購入すると誤解しやすい
銀行で購入できるため、投資信託を預金に近い商品だと感じる人もいます。しかし、投資信託は預金ではありません。
- 元本保証はありません
- 値下がりにより投資元本を下回ることがあります
- 銀行が販売する投資信託は、原則として預金保険の対象ではありません
- 登録金融機関として銀行が取り扱う投資信託は、投資者保護基金の対象外とされる場合があります
金融商品仲介で提携証券会社の口座を開設する場合は、取り扱いが異なることもあります。銀行で買う場合でも、どの口座で、どの制度のもとで保有するのかを確認しておきましょう。
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銀行に投資信託を相談するメリット
銀行で投資信託を相談することには、デメリットだけでなくメリットもあります。
特に、投資に慣れていない人や、すでに取引のある銀行で資産全体を整理したい人にとっては、相談しやすい窓口になります。
身近な窓口で相談しやすい
都市銀行や地方銀行は、日常的に利用している人が多い金融機関です。
普段から使っている銀行で相談できることは、投資初心者にとって心理的なハードルを下げるメリットがあります。
- 投資信託の仕組みや運用の基本を対面で質問できる
- 口座開設や積立設定などの手続きをサポートしてもらえる
- 店舗相談、オンライン相談、電話相談など銀行ごとの相談方法を選べる場合がある
預金・ローン・相続も含めて資産全体を相談しやすい
銀行は、預金、ローン、投資信託、保険、相続関連サービスなど、幅広い金融サービスを扱っています。
投資信託だけでなく、家計全体や将来の資金計画を整理したい場合は、銀行の総合力が役立つことがあります。
- 預金残高や毎月の入出金を踏まえて、無理のない投資額を相談しやすい
- 住宅ローンや教育資金など、近い将来に使うお金とのバランスを考えやすい
- 相続や贈与を見据えた資産整理の相談につながる場合がある
金融機関としての安心感がある
銀行は、金融庁から免許・登録等を受けた金融機関として、法令や監督指針に基づいて業務を行っています。
投資信託の販売においても、顧客の知識・経験・資産状況・投資目的に応じた説明や勧誘が求められます。
ただし、銀行という安心感と、投資信託そのものの安全性は別です。銀行で購入しても、投資信託は元本保証ではありません。
- 身元のはっきりした金融機関に相談できる
- 法令やルールに基づいた説明・書面交付を受けられる
- 不明点や苦情がある場合に、窓口やカスタマーセンターへ問い合わせやすい
投資初心者は手続き面のサポートを受けやすい
初めて投資信託を買う場合、商品選びだけでなく、口座開設、NISA口座の申込み、積立設定、購入後の確認方法などで迷うことがあります。
銀行窓口では、こうした手続き面をまとめて確認しやすい点がメリットです。
- 投資信託の基本的な仕組みを説明してもらえる
- NISA口座や積立設定の手続きで不明点を質問できる
- ネット操作が苦手な人でも、書類や画面を確認しながら進めやすい
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銀行以外で投資信託の相談ができる先を紹介
投資信託を選ぶ際に大切なのは、「どこで買うか」だけではありません。
自分の投資目的、運用期間、リスク許容度に合った商品を選び、必要に応じて見直せる体制を作ることが重要です。
投資信託を資産形成に活かすために確認すべきこと
投資信託を資産形成に活かすには、購入前に以下を確認しておきましょう。
- 商品内容の理解
- 何に投資する商品か、どのようなときに値下がりするかを確認する
- コストの比較
- 購入時手数料、信託報酬、信託財産留保額を同種の商品と比較する
- 運用目的との一致
- 老後資金、教育資金、余裕資金の運用など、目的に合うかを確認する
- 購入後の見直し方法
- 相場変動時やライフイベント時に、誰へ相談するかを決めておく
これらをすべて自分だけで判断するのが難しい場合は、銀行以外の相談先を活用するのも一つの方法です。
銀行・証券会社・FP・IFAの違いを比較する
投資信託について相談できる相手には、銀行、証券会社、FP、J-FLEC認定アドバイザー、IFAなどがあります。
それぞれ得意分野や注意点が異なるため、目的に合わせて相談先を選びましょう。
| 相談先 | 向いている相談 | 注意点 |
|---|---|---|
| 銀行 | 預金・ローン・相続も含めた総合相談 | 商品ラインアップや店頭相談の範囲が限られる場合がある |
| 証券会社 | 投資商品を幅広く比較したい場合 | 担当者や会社によって提案方針が異なる |
| FP | 家計、保険、住宅ローン、教育資金などを含めたライフプラン相談 | FP資格だけでは金融商品の売買の媒介はできない |
| J-FLEC認定アドバイザー | 一定の中立性を持つ相談相手を探したい場合 | 具体的な金融商品の販売や仲介を行う相談先ではない場合がある |
| IFA | 資産運用の提案から金融商品の仲介まで相談したい場合 | 登録状況、所属金融機関、報酬体系、取扱商品を確認する必要がある |
銀行だけで判断しにくい場合は、証券会社やIFAにセカンドオピニオンを求めるのも有効です。
ただし、IFAも「必ず中立」と決めつけるのは避けましょう。金融商品仲介業者は、内閣総理大臣の登録を受け、証券会社等の委託を受けて有価証券の売買の媒介などを行います。相談前には、金融庁の登録情報、所属金融商品取引業者、報酬体系を確認することが大切です。
IFAを活用する場合は登録・報酬・取扱範囲を確認する
IFAは、独立系ファイナンシャルアドバイザーと呼ばれることが多い相談先です。
金融商品仲介業者として登録されているIFAであれば、証券会社等と業務委託契約を結び、投資信託などの金融商品の売買を仲介できます。
一方で、IFAによって契約している証券会社、取扱商品、報酬体系、得意分野は異なります。相談する際は、以下を確認しましょう。
- 金融商品仲介業者として登録されているか
- どの証券会社等と契約しているか
- 相談料、販売手数料、信託報酬の一部など、報酬の受け取り方はどうなっているか
- 購入後のフォロー頻度や見直し方法は明確か
- 提案商品の代替案やデメリットも説明してくれるか
銀行で購入する場合でも、IFAなど他の専門家から意見を聞くことで、手数料や商品選びを客観的に見直しやすくなります。
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銀行の投資信託は相談しやすいが、購入前に比較することが大切
銀行は、投資信託を相談する身近な窓口です。
預金やローンも含めて資産全体を相談しやすく、投資初心者にとっては手続き面のサポートを受けやすいメリットがあります。
一方で、銀行は投資信託の販売会社であり、購入時手数料や信託報酬の一部が収益になる場合があります。また、取扱商品や店頭で相談できる商品が限られる場合もあります。
銀行で投資信託をすすめられたら、すぐに購入せず、以下を確認しましょう。
- 購入時手数料と信託報酬はいくらか
- 同じ投資対象の低コスト商品と比較したか
- 自分の投資目的・運用期間・リスク許容度に合っているか
- 購入後のフォローや見直し体制は明確か
- 銀行以外の相談先でも意見を聞いたか
銀行窓口の利便性を活かしつつ、必要に応じて証券会社、FP、J-FLEC認定アドバイザー、IFAなども比較すれば、より納得感のある投資判断につながります。
大切なのは、すすめられた商品をそのまま買うことではなく、自分の資産形成に合う理由を理解してから選ぶことです。
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銀行の投資信託に関するよくある質問
\ 資産運用、安心して始めたいなら /
出典
日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(公開日:2025年1月24日)
資産運用業協会「投資信託のコスト」
金融庁「顧客本位の業務運営について」
金融庁「リスク性金融商品の販売・組成会社による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果について(2024事務年度)」(公開日:2025年7月1日)
金融庁「NISAを知る」
金融庁「つみたて投資枠対象商品」
三菱UFJ銀行「投資信託」
三菱UFJ銀行「NISAのつみたて投資枠」
みずほ銀行「投資信託のご注意事項」
一般社団法人日本金融商品仲介業協会「IFAに相談する」
金融庁「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」
金融経済教育推進機構 J-FLEC「J-FLEC認定アドバイザーになるには」

